アライア(ALAÏA)はパリで2023年冬春コレクションを発表した。ショーは、2024年にオープンするフォーブル・サントノーレのアライア新店舗の未完成のスペースで行われた。
クリエイティブ・ディレクターのピエール・ミュリエ(Pieter Mulier)が2023年冬春コレクションで探求したのは、メゾンのコアとして常に内在し続ける「パラドックス」。「残忍でありながらよくできている」「不完全でありながら洗練されている」「脱構築でありながら構造化されている。」各ルックには、そんな荒々しさとエレガンスを同時に感じさせるエッセンスが落とし込まれていた。
ショーの最初には、女性の肉体が持つ曲線美のパワーを感じられる、薄手のストレッチシルクを重ねたボディスーツが登場した。その後、ドレープを描き、結び目を作り、縫い目やシンプルなドローストリングでギャザーを寄せたひねりのあるスタイルが流入し、生来のアライアらしいアイコノグラフィーが高揚する。同時に、レギンス、ドレープスカート、クールクロワゼのトップスなど、ストレッチジャージーのアイテムはまるで、第二の皮膚として機能するように精密に再設計されていた。
裏地のない生成りのムートンを使用したアウターウェアやセパレートウェアは、洗練されたデザインでありながら、身体に直接触れることで感じられる、素材の自然な風合いを醸し出した。また、クロコダイルはだまし絵のように立体的なジャカードに変換されたり、シェニールはファーのように見せかけられたりしていた。
アライアの歴史は、すべての衣服とアクセサリーに織り込まれている。1991年にレイモン・マサロがアズディン・アライアのために開発した女性の脚をイメージしたヒールも、ピーテル・ミュリエによって現代版として生まれ変わり、生き続けるアライアの伝統として再現された。
テーラーの厳格さと、体の周りを自由に動き回る布地の自由さの相反する原理を1つの衣服の中で融合させ、表現したオートクチュールの原点。その中に潜むブルート素材、洗練された装飾、自然なエレガンス、型にはまらない美しさ。
時代を超越したクリエイションを構築するための基本である、手仕事と時間にインスパイアされた23年冬春コレクションは、まさにメゾンの真髄そのものだ。
【Alaïa Winter Spring 2023 Show By Pieter Mulier】
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