コーチの親会社タペストリー(Tapestry)、米国と中国の需要低迷により年間売上高予想を下方修正

Tapestry

5月9日(現地時間)、コーチ(Coach)やケイト・スペード・ニューヨーク(Kate Spade New York)などのブランドを傘下に持つ米国のコングロマリットであるタペストリー(Tapestry, Inc.)は、売り上げ低迷により年間売上高予想を下方修正した。

第3四半期、第4四半期の利益も予想を下回り、これによって同社の株価は2%下落。

当四半期は、2023年の総売上高の 61%を占める北米の売上高が 3%減少した。同様に、中華圏の売上も2%減少。タペストリーのレザーハンドバッグとフットウェアブランドのこうした需要低迷は、物価上昇が顕著な北米における裁量支出の減少と、パンデミック後の中国の脆弱な回復に起因している。

同グループのジョアン・クレヴォワセラット( Joanne Crevoiserat)最高経営責任者は「北米の消費者信頼感は低く、インフレが続いていることが影響していると思われる。そのため、消費者は全体的に慎重になっている」と言及した。

一方で、タペストリーの一株あたり利益(EPS)は市場予想を上回る結果に。市場予想は15億ドルだったのに対し、第3四半期の純売上高は14億8000万ドルだった。調整後の1株当たり利益は0.82ドルで、予想の0.67ドルを上回った。これは、フルプライス製品の販売、運賃の削減、経費管理の改善における、190ベーシス・ポイントの利益率の伸びによるものだ。

近年ラグジュアリー業界では、エルメスのようなより高級嗜好なブランドが市場で勢力を持つ一方、それを下回る価格帯の伸びは鈍化している。

先月には、フランスの巨大コングロマリットの一つであるケリング(Kering)が、上半期の営業利益が40%〜45%減少するとの見通しを明らかにした。これは、同グループの主力ブランドであるグッチ(Gucci)の第1四半期の売上高が大幅な減少を辿ったことが影響している。