6月22日 (現地時間)、ディオール・メンズのアーティスティック・ディレクター、キム・ジョーンズ率いるディオール(Dior)は、2024年夏メンズ・コレクションを発表した。
ショーはパリ中心部にあるエコール・ミリテールで開催され、会場には未来的なメタリックの舞台が用意されていた。ショーが始まると会場が暗闇に包まれた。宇宙から何かがやってくるかのようなBGMと共に、光を放つキャットウォークの床がウィンドウのように開く。次の瞬間、地下から一斉にモデルたちがリフトに乗ってランウェーに現れる、という印象的なオープニングを見せた。
キム・ジョーンズは、自身が感銘を受けたアーティストからのインスピレーションを過去のコレクションに取り入れてきた。今シーズンのインスピレーションは、イヴ・サン=ローラン、ジャンフランコ・フェレ、マルク・ボアンであり、コレクションでは彼らが生み出したシルエットを再解釈し、ジョーンズ自身の提案と融合させ、発展させてみせた。
ムッシュ・ディオールの死後、わずか21歳でメゾンのデザイナーとなったイヴ・サン=ローランから着想を得たテーラリングの要素は、ボリューム、スリット、プリーツ、ネックラインなどのディテールに反映されていた。さらに、ジャケットやベストには、ジャンフランコ・フェレの時代を思わせる華やかなメタリックの刺繍が施されており、柔らかなテクスチャーはマルク・ボアンの影響を感じさせている。また、ディオールのミューズであるミッツァ・ブリカードからインスピレーションを得たレオパードパターンは、サドルバッグや、ショートパンツ、スポーティなベストに再現された。
そんな過去の複数のデザイナーたちの特色を調和させたような今季のコレクションの中で、イヴ・サン=ローラン、ジャンフランコ・フェレ、マルク・ボアンの3人を繋ぐコアエッセンスが、クリスチャン・ディオールの「カナージュ」だ。
「カナージュ」は、1947年にディオールの最初のサロン・ショーでゲストが座った籐で編まれた椅子をもとに、ムッシュ・ディオールがデザインした柄であり、メゾンのシグネチャーモチーフである。ジャケットの内側から覗くクルーネックニットや、ややドロップショルダーのスタイルが施されたロングコート、爽やかなハーフパンツと組み合わせたノースリーブなど、多くのアイテムに、この「カナージュ」が取り入れられていた。
コレクションのすべてのルックには、軽やかで遊び心のあるモダニティ、機能性と気楽さを感じさせるリュクスが息づく。ハリントンジャケットやポロシャツ、クルーネック、カーディガンといった、メンズウェアのベーシックアイテムには、ツイードや刺繍、ビジューの装飾が施され、テーラードジャケットにはファンシーツイードが使用されたりするなど、ウィメンズウェアの柔らかさと華やかさが吹き込まれていた。
カラーパレットには、フォーマルとカジュアルのバランスを取った、穏やかなパステルカラーと鮮やかなネオンカラーが共存する。ブラックやグレー、ベージュ、アイボリーなどの落ち着いたカラーがエレガントさとリラックス感をもたらすウェアの基盤色となっており、一方でイエローやピンク、ライム、ブルーなどの鮮やかなネオンカラーは、差し色としてのアクセントに。
2023年は、キム・ジョーンズがディオールのメンズアーティスティックディレクターに就任してから5年目となるアニバーサリーイヤーだ。ジョーンズは、それに祝福の意を込めるように、メゾンが培ってきたウィメンズウェアのエッセンスをメンズウェアに昇華させ、華やかなコレクションを披露してみせた。
ショーの当日、フロントロウには、ファッションモデルのウィニー・ハーロウ、女優のデミ・ムーア、歌手のチャ・ウンウ、『ゲーム・オブ・スローンズ』の女優グウェンドリン・クリスティといった豪華セレブリティの顔ぶれが揃った。また、このショーの数日前にルイ・ヴィトンで華々しいデビューを飾ったファレル・ウィリアムスも、息子のロケットと妻のヘレン・ラシチャンと共に出席した。
【The Dior Men’s Summer 2024 Show】
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