ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)USA Inc. は、メタバース用の衣装を含む6,000ドルのNFTを購入した顧客から訴えられている。
米ブルームバーグ(Bloomberg)によると、訴訟を起こしたルーク・ブラウン(Luke Brown)は、同ブランドがNFTの配達を誤ったために、購入したNFTで5,800ドルの損失を被り、その価値が97%減少したと主張。ブラウンは、このNFTプロジェクトからデジタル資産を購入した人々の代表として、この訴訟を起こした。
ドルチェ&ガッバーナは、DGFamily NFTを購入することで、様々なデジタル報酬、物理的な商品、および限定イベントへのアクセスが得られると消費者に伝えたとされている。これらのNFTはイーサリアムの暗号通貨ブロックチェーン上で取引される予定であった。
しかし、5月16日にマンハッタン連邦裁判所に提出された訴状によると、NFTの納品は遅れており、顧客は特別な特典を約束されていた。だが、デジタル衣装が見込まれていた予定より20日遅れて届くと、顧客は、「ユーザーがほとんどいないメタバースプラットフォームでしか使用できなかった」とされている。
さらに、デジタル衣装がリリースされた後も、トークン保有者は実際の使用までに、さらに11日間待たなければならなかった。理由は、ドルチェ&ガッバーナが事前にメタバースプラットフォームの承認を得ていなかったためである。
弁護士は訴状に、「ドルチェ・ガッバーナ社の標準的な運営手順は、製品を約束しながら実現できず、その後、支援すると約束したプロジェクトとコミュニティを放棄することだ」と記載。
また訴状では、NFTマーケットプレイスであるUNXDも被告として名指しした。しかし、ドルチェ&ガッバーナもUNXDもこの事態についてコメントしていない。
近年では、NFTを巡る問題や訴訟が後を絶たない。さらに、NFT市場全体の注目も薄れており、取引量の減少が顕著である。例えば、NFT取引の月間取引量は、2022年1月には約170億ドルであったが、2023年12月には約6億ドルにまで減少している 。多くの投資家が初期の熱狂的なブームの後、現実的な価値を見出せずに撤退している状況だ。
こうした背景の中で、今回のドルチェ&ガッバーナへの訴訟は、NFT業界の懸念と課題をさらに浮き彫りにした。