エクスペリエンスエコノミー(Experience Economy)

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エクスペリエンスエコノミー(体験経済)とは、商品やサービスそのものよりも、それらを通じて得られる「体験」に消費者が価値を見出す経済パラダイムを指す。1998年にB.ジョセフ・パインIIとジェームズ・H.ギルモアが提唱した概念で、経済価値の進化を「コモディティ→商品→サービス→体験」と位置づけた。ファッション・ビューティ業界では、没入型の店舗体験、ブランドポップアップ、パーソナルスタイリング、ビューティワークショップなど、記憶に残る体験の提供が差別化の鍵となっている。

Deep Dive

体験価値の4つの領域

パインとギルモアのフレームワークでは、体験は「エンターテインメント」「教育」「審美」「現実逃避」の4つの領域に分類される。ファッションリテールにおいては、ファッションショーやインストアイベント(エンターテインメント)、スタイリングワークショップやビューティクラス(教育)、アートギャラリー的な店舗空間設計(審美)、完全にブランドの世界観に没入できるフラッグシップストア(現実逃避)として具現化される。最も記憶に残る体験は、これらの4要素が融合した「スイートスポット」に位置する。

ファッション・ビューティにおける体験設計の事例

エクスペリエンスエコノミーの先進事例として、NikeのHouse of Innovationは、カスタマイゼーションスタジオ、スポーツテスト施設、AR体験を統合した体験型フラッグシップを展開している。Glossierのショールームは、SNS映えする空間設計と製品体験を融合し、来店自体がコンテンツ創出の機会となるように設計されている。日本では、資生堂のS/PARK(エスパーク)がビューティ体験、カフェ、ランニングステーション、研究施設の見学を統合した体験型施設として注目を集めている。

デジタル時代の体験経済

メタバース、AR、VR技術の進展により、体験経済はデジタル領域にも拡張されている。バーチャルファッションショー、デジタルフィッティングルーム、NFTを活用したデジタルファッション体験、ゲーム内でのブランドコラボレーション(Fortnite x Balenciaga等)など、物理的な制約を超えた体験の創出が進んでいる。ただし、デジタル体験は物理的体験を代替するものではなく、フィジタル(Physical + Digital)な体験設計として統合されることで最大の効果を発揮する。

OSFパースペクティブ

OSFは、エクスペリエンスエコノミーをファッション・ビューティ業界のリテール変革の核心として捉えている。EC時代に実店舗が存在し続ける理由は、商品の提供ではなく体験の提供にある。OSFとしては、消費者の記憶と感情に訴える革新的な体験を創出するブランドを積極的に取材し、体験設計のベストプラクティスを読者に共有している。

関連用語

リテールテインメント, ポップアップストア, フラッグシップストア, OMO, ブランド体験

注目ブランド

Nike (House of Innovation), Glossier, 資生堂 (S/PARK), Gentle Monster, teamLab