4月23日(現地時間)、フランスの巨大コングロマリットの一つであるケリング(Kering)は、主力ブランドであるグッチ(Gucci)の第1四半期の売上高が減少したことを受け、上半期の営業利益が40%〜45%減少するとの見通しを明らかにした。
グッチはケリングの中でも売上高の半分、利益の3分の2を占めているブランドだが、同ブランドの第1四半期の売上高は18%減で、前四半期の4%減より大幅な減少を辿った。この売上減少が影響し、ケリングは、3月期の売上高が10%程度減少する可能性を警告。3月までの3ヶ月間の売上高は、比較可能ベースで10%減の45億ユーロ(48億ドル)となっている。
そんな中、日本市場でのケリングの売上は好調だ。日本はケリングの売上の8%を占めており、円安による観光客の増加で好調を維持している。同グループの小売売上高は16%の大幅増となった。ブランド別に見ると、サンローランは、第1四半期には売上高8%減、小売売上高4%減に直面していたが、34%増という著しい伸びを示した。バレンシアガを含むその他のメゾン 部門からの直接販売は40%急増した。世界各国で売上低迷が起きているグッチでさえ、日本では7%の売上増を記録した。
一方で、その他のアジア太平洋地域での小売売上高が19%減とだったことが大きな痛手となった。同グループはケリングの総売上高の34%を占めているが、全てのブランドの売り上げが減少した。
中でも、特に顕著だったのが中国だ。その背景には、不動産バブルの崩壊で打撃を受け、不利な経済情勢に苦しむ中国の消費者の姿がある。それが故、現在中国では、長期的な投資として資産価値が上がるブランドの購入か、もしくは極端に安価な製品の購入をするか、消費者行動に両極化が起きている。
なお、3月19日以来、ケリングの株価は18%下落している。
同グループのフランソワ・アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)会長兼CEOは24日、第1四半期の業績がかなり悪化したことを受け、声明の中で「厳しい年明けになることは予想していましたが、特に中国をはじめとする市場の低迷と、グッチをはじめとする一部のハウスの戦略的な再配置が、トップラインの下押し圧力に拍車をかけました」とコメントし、「このような減収を考慮し、また、ブランドの長期的な魅力と独自性のために選択的な投資を続けるという確固たる決意とともに、今年上半期の営業利益は大幅に減少する見込みです」と警告を述べた。
昨年、グッチは新クリエイティブ・ディレクターにサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)を迎え入れ、ブランドのムードを一新。9月のミラノファッションウィークでデビューを飾ったデ・サルノは、前任のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の派手なアプローチとは一線を画す、洗練された官能的なスタイルを発表した。
ケリングによると、クラシックなレザーグッズを中心に、ブランドの高級化を推し進めており、光沢のあるジャッキーバッグやチャンキーなプラットフォームローファーなど、新コレクション「グッチ アンコーラ(Gucci Ancora)」は好評だという。