ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)2025年秋冬コレクション—旅が紡ぐロマンス、時間と記憶を纏うモード

Louis Vuitton
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3月10日(現地時間)、ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)は、2025年秋冬ウィメンズ・コレクションをパリ ファッションウィークで発表した。今回の舞台は、パリ北駅に隣接する歴史的建造物レトワール・デュ・ノール(L’Étoile du Nord)。ここは、かつて鉄道会社の本社として機能していた場所で、まさに旅の象徴であり、ウィメンズ・アーティスティックディレクターのニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)のクリエイションにふさわしいロケーションとなった。

駅という舞台で描かれる「旅のロマンス」

今シーズンのコレクションは、19世紀の鉄道旅行のロマンと現代的なデザインを融合させたものだ。テーマとして浮かび上がるのは、旅の始まりと終わり、出発と帰郷、期待と別れの交錯する感情。そのドラマを纏うかのように、モデルたちはプラットフォームに立ち、行き交う旅人の姿を映し出した。

コレクションの冒頭を飾ったのは、透け感のあるエナメル素材を使用したコートやジャンプスーツ、ドレスといった、シックでありながら未来的なムードを纏うルックの数々だ。シースルーの質感が光を受けて艶やかに揺れ、流動的なフォルムが旅の途中の一瞬の移ろいを映し出す。

2ルック目に登場したスキンカラーのコートは、まるで肌と一体化するかのような繊細な質感を持ち、柔らかく軽やかな印象を与えた。しなやかに透ける素材が、着る者の存在を包み込みながらも、内に秘めた強さを感じさせる。一方、ブラックのレザーパンツには、立体的なポケットがランダムに配置され、機能性と装飾性が交差するデザインに仕上げられていた。

続くチェック柄は、コートやレイヤードドレスに大胆に取り入れられ、シーズンのカラーパレットであるレッド、グリーン、ホワイト、ブラックを基調に展開。19世紀の英国調トラディショナルなムードを漂わせつつも、メタリックの輝きやモダンなピンストライプが未来への視線を投げかけた。

さらに、流麗なラッフルをまとったドレスや、大胆なショルダーラインのコートがシルエットにドラマティックさを演出。メタリックやピンストライプといった予想外の要素も加えられ、クラシックな旅のイメージにモダンなエッジを与えていた。

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ラゲージというタイムレスなシグネチャー

ルイ ヴィトンにとって「旅」は単なる移動ではなく、ブランドの根幹をなすライフスタイルそのものだ。今シーズンもまた、メゾンを象徴するラゲージが重要な要素として登場した。

新たに加わったのは、ブランドのアイコンである「キーポル(Keepall)」を再解釈し、柔らかな色合いとしなやかなフォルムを持つ「レクスプレス(L’Express)」。また、ギター型のハンドバッグはブランドのクラフツマンシップを象徴し、ダッフルバッグは旅の相棒としての機能性を追求したものとなっている。その他にも、ハードケースバッグやヴィンテージ風のボストンバッグなど、すべてが「旅する女性」のために考案されたアイテムであった。

また今シーズン、ルイ ヴィトンは、伝説的なエレクトログループ、クラフトワーク(Kraftwerk)とのコラボレーションを展開。彼らの音楽は今なお現代のサウンドをインスパイアし続けており、その影響がファッションにも投影された。いくつかのルックには、アイコニックなアルバム『ヨーロッパ特急(Trans-Europe Express)』のジャケットデザインが登場し、クラフトワークが表現する「機械と人間の融合」「移動と音楽のリズム」が、ジェスキエールのコレクションのエスプリに共鳴していた。

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アクセサリーが紡ぐ旅のムード

さらに旅の情景をより鮮明に描き出したのは、随所にちりばめられたアクセサリーの工夫だ。ジュエリー、シューズ、ヘッドウェアといった細部のディテールが、コレクションのテーマである”旅”の感情をさらに際立たせていた。

ジュエリーは、まるで旅の記憶を詰め込んだかのようなヴィンテージライクなデザインが特徴的。懐中時計を思わせるペンダントがリブニットのルックにアクセントを加え、クラシックな旅装のイメージを呼び起こす。一方、ボリューム感のあるチェーンブレスレットやカフは、シンプルなルックに洗練された存在感を添え、旅人の力強さを暗示していた。

シューズのバリエーションも幅広く展開があった。スラウチーブーツは、足を包み込むファーライニング仕様のものから、ヒール付きでエフォートレスなデザインまで、多様なアプローチが登場。また、バイカラーのスクエアトゥブーツは、程よいボリュームのアウトソールが、スタイリング全体にモダンな雰囲気をプラスした。

さらに帽子が、旅のワードローブに欠かせない要素として、それぞれのスタイルに奥行きをもたらす。例えば、ワイドブリムのハットは、日差しを遮る実用性と同時に、旅の途中で素顔を隠すミステリアスな雰囲気を醸し出し、一方、レトロなベイカーボーイハットは、どこかノスタルジックなムードを漂わせる。スカーフを帽子の下に巻きつけたスタイリングでは、まるで映画のワンシーンのようなドラマティックな空気を生み出していた。

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ジェスキエールが今回のコレクションで提示したのは、単なる移動手段としての旅ではなく、旅そのものが生み出す感情や記憶をまとうファッションだ。そこには、目的地にたどり着くことよりも、その過程こそが人生を形作るというメッセージが込められている。

時間と空間を超えて紡がれる旅の詩。どこへ向かうかではなく、どう旅をするか——ルイ ヴィトン 2025年秋冬ウィメンズ・コレクションは、その美しさを、服を通して再定義したものだった。

ルイ ヴィトン 2025年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。

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