ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)2024年春夏メンズコレクション|ファレル・ウィリアムス時代の幕開け

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ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の『ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)』時代が幕を開けた。

6月20日(パリ現地時間)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)は、メンズのクリエイティブ・ディレクターにファレル・ウィリアムスを迎えてから初となる、2024年 春夏メンズコレクションを発表した。パリを象徴するポンヌフ橋を舞台に行われたこのショーは、同ブランドのメンズコレクションにおける史上最大規模であり、招待されたゲストの数も過去最多を誇るものとなった。

ルイ・ヴィトンのメンズ・クリエイティブ・ディレクターにウィリアムの就任が決定して以来、世の中のファッション愛好家たちは、この瞬間を心待ちにしていた。しかし一方で、ウィリアムスの就任直後には、ファッション業界で否定的な意見が飛び交っていたことも事実だ。「ウィリアムスは、ファッションを専門的に学んだ経験がない」という理由から、彼へのオファーに疑問を示す見方もあり、業界内での意見には分裂が生まれた。前任の故アブローは、ルイ・ヴィトンを完全に変貌させ、業界最高峰のクリエイターでさえも超えることが難しい、永続的な遺産を残した人物であった為、尚更だっただろう。

しかし、ウィリアムスはこれまでに、ファッション業界で様々なタレント性を発揮してきた人物だ。2003年にNIGOとビリオネアボーイズクラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB)を共同設立したのを皮切りに、アディダスとの長期的なデザインパートナーシップ、またモンクレールやシャネル、ティファニーといったラグジュアリーブランドとのコラボレーションなど、ファッション界で彼を知らぬ者はいない。また、2004年には、マーク・ジェイコブスに声をかけられ、Nigoと共にでルイ・ヴィトンの新しいアイウェアを制作した実績も持つ。

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Photo via Instagram/@pharrell

そんなウィリアムスが、故ヴァージル・アブローの後任が作り上げたルイ・ヴィトンを新しくしようとしているのではなく、純粋にブランドを「再解釈」しようとしていることは、オープニングの数ルックから、一目瞭然だった。「これまで」と「今」を合わせ表現した折衷的でありながら、各所のディテールにまでこだわったルックを身にまとったモデルたちがランウェイに登場すると、会場は喜びと陽気な雰囲気で一体となった。

今回の2024年春夏メンズコレクションで、ファレルが新しく発表したのが、ブランドのシグネチャー柄であるダミエ・パターンとカモフラージュ柄を融合させた「ダモフラージュ」だった。その他にも、ピクセル化されたダミエ・チェックからカラフルなダミエ・スタイルのデニムやテーラードまで、さまざまな形で大胆な「ダミエ・モチーフ」をコレクションに取り入れた。

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現在多くのブランドが「クワイエットラグジュアリー」に傾いている一方で、そのトレンドを打ち消すように、ロゴと大胆な色使いで「The Louis Vuitton Lovers Present(ルイ・ヴィトンの恋人たちへ)」と書かれた大きなグラフィックを前面に打ち出したルックもあった。

また、スポーティなジャージのセットアップや、ダミエ柄の白いジャケットには、多数のパールが縫い付けられていたり、綺麗めなテーラードジャケットにはアクセントとして煌びやかなネックレスやブローチが重ね付けされるなど、ストリートスタイルにエレガントなエッセンスが心地よく調和されていた。その他、足元には、ルーズソックスにローファーのようなスクールスタイルが見られたのも特徴的だった。

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もともと音楽プロデューサー、アーティストという背景を持つウィリアムスが、今回のショーケースで見せたのは、まさに感謝と団結を表現した華麗なるアンサンブルだった。前半の優美なオーケストラの生演奏と、後半の生き生きとしたゴスペルの聖歌隊の生演奏によって、新しい命が吹き込まれた新コレクションをとてもエモーショナルで力強いものにしてくれた。

ウィリアムスによってブランドの新しい方向性が示されたのは確かだが、彼はルイ・ヴィトンに根付く精神に忠実であり続け、摯実に向き合いながら、新しい時代を築いていくことだろう。