2月2日(NY現地時間)、マーク ジェイコブス(Marc Jacobs)は例年のように、ニューヨーク・ファッション・ウィークに先駆けて、2024年春夏コレクションのランウェイ・ショーを行った。
前回に引き続き、ショーはニューヨークのパーク・アヴェニュー・アーモリーで行われ、会場内には特大のサイズの折りたたみ椅子とテーブルが設置された。これは、巨大な彫刻と模型で知られるアメリカ人アーティスト、故ロバート・サーリアン(Robert Therrien)による「No title (folding table and chairs, beige)」という彫刻作品で、モデルたちは、巨大テーブルの下を潜りながら闊歩する。
2024年春夏コレクションでは、プロポーションとスケールを強調した人形のようなモデルたちが登場し、60年代にインスパイアされたルックにドラマチックなタッチを加えた。ボリューム溢れる盛りヘアに、長くバサバサとしたつけまつげ、極太のアイライナーを引いて現れた細身のモデルたちの風貌はまるで、若かりし頃のツイッギー(Twiggy)をドラマチックに発展させたような雰囲気だ。
ルックは、どれも体にフィットせず、大きめに作られており、視覚的な錯覚を起こす3Dシルエットが特徴的。オーバーサイズのコートや、セーターは、重点が前のめりになっており、大きめのフラットボタンと立体感を引き立たせるシルエットで、「人形が洋服を着せられている感」が強調される。長すぎる袖からは、手が出ていないモデルもいた。
しかし、そんな大きすぎるトップの下には、ボトムを履かず、ショーツだけのスタイリングや、足元にはチャンキーなメリージェーンのヒールが合わされており、オーバーサイズのトップとのアンバランスさを感じさせない絶妙さが作り出された。
バッグは、Z世代に人気のヴェネチア・バッグやブランドのアイコニックなロゴ入りトートなどが登場し、どれも特大サイズがフィーチャーされた。
後半には、大ぶりのスパンコールドットが煌めくグラマラスなムードのドレスが並び、最後のフィナーレもなく、ショーを静かに締め括った。
今年、同レーベルは記念すべき40周年を迎える。その節目を祝う為に、先日ブランドのインスタグラムには、ユーモア溢れるプロモーション・ムービーが投稿された。それは、無数のキャンドルが置かれたバースデーケーキを前に、ジェイコブスが燃え盛るキャンドルの炎を必死で吹き消そうとしている様子だ。見ている方をハラハラさせながらも、笑顔が生まれるこのユーモラスな動画は、多くの人々の笑いを誘い、高いエンゲージメントを得た。
一方、実際のランウェイショーでは、過剰なエンターテイメントを必要とせずに、服自らの存在で、渾身のクリエイションを見せてくれたマーク・ジェイコブス。40年という歳月を経ても、なお進化し続ける彼の美学は、毎シーズン、オーディエンスに次の展開を期待させてくれるものなのだ。
マーク ジェイコブス(Marc Jacobs) 2024年春夏コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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