マックスマーラ(Max Mara)、ナポリで壮麗に魅せた2026年リゾートコレクション

Max Mara
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6月17日(現地時間)、イタリアを代表するラグジュアリーブランドのマックスマーラ(Max  Mara)は、2026年リゾートコレクション「ヴェネーレ・ヴェスヴィアーナ(Venere Vesuviana)」を、ナポリ近郊のカゼルタ宮殿にて発表した。

会場となったのは、ユネスコ世界遺産にも登録されているバロック建築の傑作、レッジア・ディ・カゼルタ(カゼルタ宮殿)。壮麗な大理石の階段をランウェイに、マックスマーラが掲げたテーマは「パルテノペの誇り、情熱、そしてエンパワーメント」。古代ギリシャ神話に由来する地中海の女神たちと、戦後イタリアの女性像が交錯するようなコレクションが展開された。

創業年1951年へのオマージュと映画黄金期の再解釈

1951年──この年はイタリアが戦後の復興を迎え、またマックスマーラが創業された年でもある。ルース・オーキン(Ruth Orkin)の名作『アメリカン・ガール・イン・イタリー(American Girl in Italy)』に象徴されるように、自由に街を歩く女性の姿がまだ特別視されていたこの時代。ソフィア・ローレン(Sophia Loren)やシルヴァーナ・マンガーノ(Silvana Mangano)といった映画女優たちは、美しさと強さを兼ね備えた「新しい女性像」として世界を魅了していた。

同コレクションは、そうした50年代の映画的ヒロインたちにインスピレーションを得ている。ショートパンツや立体ポケット付きのサーキュラースカート、ポートレートカラーのトップスやストラップドレスなど、クラシカルでありながらフェミニンなシルエットが印象的だ。また、随所に見られるボディラインの強調が、当時の官能性を現代的に再構築している。

ナポリのクラフツマンシップとの融合

注目すべきは、ナポリの老舗マリネッラ(E. Marinella)とのコラボレーションだ。1951年に登場した伝統的なクラヴァッテ(ネクタイ)柄を、シルクパジャマや刺繍入りカシミアセーターへと昇華。メンズウェアの文脈をラウンジウエアに落とし込むことで、新たなラグジュアリーの可能性を示した。

さらに、ブランドの象徴ともいえるコートのバリエーションも健在。ショールカラー、フリンジ付き、ファネルネックなど、素材やディテールに富んだアイテムが揃う。なかでも、クリスタルがあしらわれたパノのガウンや、ボーン入りのシルクガーゼなどは、ナポリの華やかな気質を纏わせながら、圧倒的な存在感を放った。

“現代のキアッティッロ”という新しい男性像

レディースが主軸でありながら、今回は男性像の再解釈も見逃せない。白い襟付きのストライプシャツとナポリ仕立てのジャケットをまとった、“現代のキアッティッロ(伊語で洒脱で少し気取った男性)”が登場。女性だけでなく、ジェンダーニュートラルな時代を象徴する提案として捉えることもできる。

マックスマーラは、ブランドのルーツとナポリという土地の美意識、そして現代の女性たちが求める「自立と気品」を、2026年リゾートコレクションという形で融合させた。 「ヴィヴァ・ヴェネーレ・ヴェスヴィアーナ!」──この叫びが象徴するように、同ブランドはこれからも進化を続け、次世代のクラシックを築いていくだろう。

マックスマーラ 2026年リゾートコレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。

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