サステナビリティの観点からファストファッションへ対する監視の目はますます厳しくなっているが、「ウルトラ・ファストファッション」として知られるシーイン(Shein)は、その利益を2倍以上の20億ドル以上に伸ばしている。
フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、同社は昨年、ソーシャルメディアを使って商品を宣伝することで約450億ドルの売上を記録。2022年には7億ドル、2021年に11億ドルの純利益を計上した。
中国で設立した後に、本社をシンガポールに移転した同社は、今や世界で最も収益性の高いファッション企業のひとつとなり、10ドル以下の超低価格でトレンドを意識したアイテムを多数販売しており、特にZ世代から熱い支持を得ている。
スウェーデン発のH&Mは昨年、純利益8億2000万ドルを報告しているが、今やシーインはそれをも上回る勢いだ。しかし、その一方で、ZARAやベルシュカ(Bershka)、マッシモ・ドゥッティ(Massimo Dutti)を傘下に持つスペインのインディテックス社(Inditex)は、昨年58億ドルの純利益と、依然として高収益を維持している。
シーインの事業は主に中国を拠点としているが、同社のすべての製品は中国国外で販売される。2022年4月にシーインは、資金調達ラウンドで1,000億ドルの評価額を達成し、世界で3番目に価値のある新興企業となった。しかし、その価値は昨年5月には600億ドル強まで下落。とはいえ、同社は株式上場を進めれば、最大900億ドルの評価額に達するとの希望を表明していると報じられている。
シーインのIPOの場所については現在のところ最新情報はなく、第一候補はニューヨークだが、中国企業の米国上場が不利な雰囲気であることから、ロンドンが予備オプションと見られている。