コーチ(Coach)の親会社であるタペストリー(Tapestry)は、マイケル・コース(Michael Kors)、ヴェルサーチェ(Versace)、ジミー・チュウ(Jimmy Choo)などのファッション・ブランドを所有するカプリ・ホールディングス(Capri Holdings)を買収する。買収金額は約85億ドル。米国のファッションハウスは有名ブランドをいくつも買収し、傘下に持つことで、LVMHやケリング(Kering)のようなヨーロッパの巨大コングロマリットに挑もうとしている。
8月10日(現地時間)、コーチ(Coach)を始め、ケイト・スペード(Kate Spade)やスチュアート・ワイツマン(Stuart Weitzman)などのブランドを擁するタペストリー社は、統合後の世界年間売上高は120億ドルを超え、75カ国以上で事業を展開していることを発表した。また、この統合により3年以内に約2億ドルのコスト削減を見込んでおり、この買収の資金調達の大部分を負債で賄う予定である。
タペストリーCEOであるジョアン・クレヴォワゼラット氏(Joanne Crevoiserat)は声明で「コーチ、ケイト・スペード、スチュアート・ワイツマンと、ヴェルサーチェ、ジミー・チュウ、マイケル・コースの組み合わせは、新たな強力なグローバル・ラグジュアリー・メゾンを創造する」と、述べた。
カプリの会長兼CEOのジョン・アイドル(John Idol)は、「タペストリーと一緒になることで、我々のブランドのユニークなDNAを守りながら、グローバルな展開を加速させるための、より大きなリソースと能力を手に入れることができる」と語った。
ケリングは先月、カタールの投資会社メイホーラから17億ユーロでヴァレンティノ(Valentino)の株式を購入すると発表し、またひとつ大きなファッションブランドを傘下に収めた。この契約に基づき、グッチを所有するケリングは、2028年までにヴァレンティノを100%買収するオプションを持っている。また同社は昨年、トム・フォード(Tom Ford)の買収を試みていたが、激しい競売の末、化粧品大手のエスティ・ローダー(Estée Lauder)に敗れ、エスティ・ローダーは20億ドル以上を支払ってトム・フォードを買収した。
一方でLVMHは、2021年にニューヨークの高級ジュエリーブランド、ティファニー(Tiffany & Co.)を買収しており、現時点で、約60の子会社を統括し、75の有名ブランドを管理している。
タペストリーとカプリの取締役会はこの取引を承認しており、来年には完了する予定だ。カプリの株価は木曜日の市場オープン前に58%以上上昇し、タペストリーの株価は3%下落した。