アンブッシュ(Ambush)、再び独立ブランドへ─創業者ユンとヴァーバルが全株式を買い戻し

Ambush

4月11日(現地時間)、東京発のファッションブランド「アンブッシュ(AMBUSH)」が、独立ブランドとしての再スタートを切った。創業者であるユン・アン(Yoon Ahn)とバーバル(Verbal)は、ブランドの全株式を買い戻し、完全な所有権を取り戻したことを発表した。

アンブッシュは2008年にユン・アンとバーバルによって設立され、ジュエリーを起点としながら、後にアパレルやアクセサリーを含むトータルブランドへと進化。ストリートウェアの盛り上がりとともに注目を集め、国際的なファッションシーンにおいて存在感を強めてきた。2020年にアンブッシュは、イタリアのファッション企業ニューガーズグループ(New Guards Group)の傘下に入り、同社が過半数株式を取得した。

しかし近年、ニューガーズグループは経営不振に陥り、2023年末にはファーフェッチ(Farfetch)を買収したクーパン(Coupang)の傘下に入るなど、事業構造の大幅な見直しが進んでいた。さらに同年11月には、イタリア国内で債務再編手続きであるCNC(Concordato Preventivo)を申請。これは企業が法的破綻を回避しつつ再建を図るための制度であり、NGGは現在もその再編過程にある。

こうした状況を受け、ユンとバーバルはブランドの方向性を自らの手に戻すべく、株式の買い戻しを決断。正式な取引完了は先週金曜日に発表されたが、詳細な条件については明らかにされていない。

再び自らがブランドの指揮を執ることにより、アンブッシュはクリエイティブの自由と戦略的な柔軟性を手にした。ユンは声明で次のように語っている。

「完全な所有権を取り戻すことで、アンブッシュが築かれてきた核心的な価値観や本来のビジョンを、余すことなく表現できるようになります。私たちはこの新たな章、そして無限の可能性に向けて、大きなエネルギーを感じています。」

また、ヴァーバルは、「所有権を取り戻すことは、イノベーションを追求し、世界中のコミュニティとのつながりをさらに深めていくための自由を取り戻す、重要な節目なのです」とコメントした。

今回の動きは、昨今のファッション業界におけるブランドオーナーによる買い戻しの流れと重なる。近年では、「オフ-ホワイト(Off-White)」や「パーム エンジェルス(Palm Angels)」がブルースター アライアンス(Bluestar Alliance)によって買収され、さらには「アラヌイ(Alanui)」の創業者カルロッタ・オッディ(Carlotta Oddi)とニコロ・オッディ(Nicolò Oddi)が持ち株をNGGから買い戻すなど、同様の動きが続いている。LVMHが保有していた持ち分を「ステラ マッカートニー(Stella McCartney)」や「ジュゼッペ ザノッティ(Giuseppe Zanotti)」が取り戻した例も記憶に新しい。

アンブッシュは、これまで築き上げてきたブランドの価値観を再確認しながら、東京と日本を拠点とした”次の世代への飛躍”を構想している。今後は、サカイ(Sacai)、アンダーカバー(Undercover)、ブルガリ(Bulgari)、リモワ(Rimowa)、アグ(Ugg)といった過去のコラボレーションに続く、新たな展開が期待される。ファッション、音楽、カルチャーを横断する表現の場として、再びブランドの個性と革新性を世界に発信していくことだろう。

 

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