LVMH、2025年第1四半期決算を発表─「レジリエンス」を掲げるも、売上は2%減

LVMH

4月13日(現地時間)、フランスのラグジュアリーグループ、LVMHモエ ヘネシー ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)は、2025年度第1四半期の決算を発表した。売上高は203億ユーロと前年同期比で2%の減少。為替や構成の影響を除いたオーガニック成長率では3%減であり、アナリスト予想を下回る内容となった。

部門別では、ワイン&スピリッツが9%減、ファッション&レザーグッズが5%減、セレクティブリテーリングと香水・コスメが1%減、時計&ジュエリーは横ばいであった。LVMHは決算発表資料の中で、「地政学的・経済的な不確実性の中でも、当社はレジリエンス(耐性)を示した」と表明している。

村上隆とのコラボが完売、ファッション部門の中でも明暗が分かれる

主力のファッション&レザーグッズ部門では、ルイ ヴィトンが20年ぶりに村上隆(Takashi Murakami)と再タッグを組んだコレクションが大成功を収めた。モノグラムをマルチカラーで再解釈した限定バッグは完売し、ゼンデイヤ(Zendaya)を起用したキャンペーンやポップアップイベントも話題を集めた。

LOUIS VUITTON × MURAKAMI

さらに、ルイ ヴィトンの新作「バイカーバッグ(Biker Bag)」や、ディオールの「トゥジュール(Toujours)」「「ディージャーニー(D-Journey)」も好調に推移したとされている。

ブランド別のパフォーマンスについては、LVMHの最高財務責任者であるセシル・カバニス(Cécile Cabanis)が、ルイ ヴィトンとロロ ピアーナは堅調である一方、ディオールはやや平均を下回るパフォーマンスであったことを明かした。

さらに米国市場について、カバニスは「当グループの米国顧客は、引き続きファッションおよびレザーグッズに強い関心を持っています」と述べ、ファッション関連製品に関しては需要に大きな変化はなかったことを伝えた。

だが一方で、ワイン&スピリッツ(特にコニャック)や香水・化粧品の売上は減少した。これは、アマゾン(Amazon)による積極的な価格競争の影響によるもので、セフォラ(Sephora)のオンライン販売が勢いを削がれたと分析している。また、DFSは香港・マカオの来店数減少に加え、ヴェネチアのフォンダコ・デイ・テデスキ店舗を段階的に閉鎖中であることも逆風となったようだ。

アジアでは、日本を除く地域で11%減、日本では1%の微減で、前年の中国人観光客による売上急増の反動が見られた。

アメリカでの生産体制強化も、抜本的な方針転換は否定

なお、米国生産の拡大方針についてカバニスは、「抜本的な変更を検討しているわけではありません」と述べており、急な方針転換は想定していないことを明言。続けて、「高級品の生産をより米国に移行することは、一朝一夕でできることではありません」とも語り、現状を維持しながら段階的に強化していく姿勢を示した。

現在、ルイ ヴィトンは米国内に3つの製造拠点を持ち、米国市場の需要の約3分の1を供給している。ティファニーについても、米国内の店舗へはほぼ自社工場から供給できている状態だ。また、ティファニーのT、Lock、Hardwear、Knotといったラインは引き続き好調であり、ミラノのモンテナポレオーネ通りにオープンした最新店舗も高い評価を得ているという。

LVMHは「需要が戻った際に力強く立ち上がるための備えを続ける」としており、2025年の戦略として引き続きイノベーションと選択的投資を継続していく姿勢を明確にした。

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