世界最大級のビューティー企業ロレアル(L’Oréal)が、サステナビリティ領域の技術革新を加速するべく、新たなアクセラレータープログラムを始動させた。同社は、今後5年間で総額1億ユーロ(約170億円)を投じ、低炭素ソリューションから水資源の保全、代替原料、循環型包装に至るまで、業界全体の持続可能性課題に対応する画期的な技術を発掘・支援・スケール化していく。
同プログラムは、ロレアルが掲げる長期的なサステナビリティ戦略「L’Oréal for the Future」の一環として展開されるものだ。この戦略では、2030年までにScope 1・2の温室効果ガス排出量を57%削減し、一部Scope 3も28%削減するなど、科学的根拠に基づいた複数の目標を設定。使用するバージンプラスチックを50%削減し、パッケージ素材の半分以上をリサイクルまたはバイオベース由来にするなど、循環型経済の実現にも取り組んでいる。
今回のアクセラレーターでは、既に実証実験可能な技術を持つスタートアップや中小企業、既存の革新的企業を対象に支援を実施。重点領域には、以下の項目が含まれる:
- 低炭素ソリューション
- 代替原料
- 化石燃料由来のプラスチックの排除と廃棄物削減
- 環境負荷の少ない製造工程
- 水資源のレジリエンス
- 自然に基づいたソリューション
- インクルーシブなビジネスモデル
また、この取り組みにおいてロレアルは、ケンブリッジ大学サステナビリティ・リーダーシップ研究所(Cambridge Institute for Sustainability Leadership, CISL)とのパートナーシップを締結。イノベーションの探索から、試験導入、事業規模拡大までを一気通貫で支援していく体制を構築している。
ロレアルのチーフ・コーポレート・レスポンシビリティ・オフィサーであるエズギ・バルセナス(Ezgi Barcenas)は、同プログラムの立ち上げに際して次のように述べている。
「2030年を見据え、私たちはより意図的かつ包括的な形でサステナブル・イノベーションを追求していきます。このアクセラレーターは、今あるソリューションの空白を埋め、革新的技術の採用を加速させる鍵となるでしょう。低炭素ソリューション、代替原料やパッケージ素材、環境負荷の少ないプロセス、そして適応力とレジリエンスの強化において、スタートアップや中小企業と協業できることを楽しみにしています。」
この新プログラムは、ロレアルがこれまで推進してきた環境対策と技術革新の蓄積を土台とし、次のステージへ踏み出すものだ。再生可能エネルギーの導入による事業拠点のカーボンニュートラル化、自然再生基金を通じた環境投資、代替原料やバイオ素材の開発など、多方面からサステナビリティ課題にアプローチしてきた同社にとって、「共創」を軸とする今回の新たな挑戦は、持続可能な未来を形づくる起爆剤となる。美の革新と地球環境の再構築を同時に実現すべく、ロレアルは再び業界の変革を牽引する構えだ。
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