ファッションと音楽は、長年にわたり相互に影響を与え合いながら進化してきた。装いが時代の音楽シーンを象徴する一方で、アーティストの表現は私たちのスタイルそのものを再定義してきた。こうした関係性に着目し、H&Mはこのほど、新たな音楽プロジェクト「H&M&RedStage」を立ち上げた。
同プロジェクトは、ファッション、音楽、そして自己表現の結びつきを探るプラットフォームとして構想されたものだ。グローバルで活躍するアーティストと新進気鋭の才能を組み合わせ、既存の楽曲を新たな視点で再解釈することで、スタイルとサウンドの融合を提示する試みである。
第1弾では、R&Bシンガーのギヴォン(Givēon)が中心的なクリエイティブを担う。『Heartbreak Anniversary』や『Chicago Freestyle』で知られる彼は、独自のバリトンボイスと感情的な表現で高い評価を受けてきた。今回のプロジェクトでは、自身の音楽的世界観を拡張する形で、新たな表現の可能性を提示している。

ギヴォンはキュレーターとして、2人の新進アーティストを選出した。ロンドンを拠点とするアブソリュートリー(Absolutely)と、オーストラリア出身のディー(Dhee)である。両者はそれぞれの感性を通じて、ギヴォンの代表曲を再構築した。
アブソリュートリーは「Heartbreak Anniversary」を、より親密で内省的なアレンジへと昇華。原曲の持つ感情の核を保ちながらも、より繊細で脆さを感じさせる表現へと再定義している。一方ディーは「Like I Want You」を再解釈し、インド的な要素をさりげなく取り入れたレイヤードなサウンドスケープを構築。リズム、空気感、感情が複雑に重なり合う音像を提示した。

また、ギヴォン自身も、自身の楽曲を新たに再レコーディングすることで、既存のカタログに新たな解釈を加えた。
「ディーとアブソリュートリーがこの特別なプロジェクトに参加してくれたことに、心から感謝しています」とギヴォンは語る。「彼らの視点を通して自分の作品を見ることは、美しく、驚きに満ち、そしてとても豊かな経験でした。自分の楽曲にもう一度恋をしたような気持ちになりました。スタジオで生まれたエネルギーは、本当に素晴らしいものでした。」
さらに、参加アーティストのアブソリュートリーも次のようにコメントしている。
「『Heartbreak Anniversary』に私ならではの解釈を加える機会をいただけて、とても光栄です。私にとって音楽とは、自分の中で起きているすべてを翻訳するようなもの。さまざまな影響や経験が混ざり合っています。このプロジェクトは、アーティストとして、そして一人の人間としての“アイデンティティ”や“自分らしさ”を探るものだったので、とても特別でした。」

H&Mはこれまでも、音楽と密接に関わるブランドとして、数々のアーティストとの協業を展開してきた。今回の取り組みは、その延長線上にある。
チーフ・クリエイティブ・オフィサーのヨルゲン・アンダーソン(Jörgen Andersson)は、「ファッション、クリエイティビティ、音楽は、多くの交差点で人々を結びつけます。確立されたアーティストと新進の才能の双方にグローバルな舞台を提供することは、まさにH&Mというブランドの本質を体現するものです」とその意義について、述べている。
なお、同プロジェクトの楽曲は、SpotifyおよびApple Musicにて公開されており、ファッションブランドによる音楽領域への新たなアプローチとしても注目を集めている。
Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.