H&M、バングラデシュのサプライヤーに対する単価を引き上げへ

スウェーデンのファストファッションブランドH&Mは、バングラデシュで生産される衣料品の価格を引き上げ、サプライヤー労働者の賃金上昇分を補填する。

米ブルームバーグによると、同社は、バングラデシュ政府が12月から縫製労働者の最低月給を56%引き上げ、12,500タカ(113ドル)にすると発表したことを受け、同国の縫製工場に対し、「賃金の上昇分を製品価格に反映させる」と述べた。

バングラデシュでは先月末、縫製労働者が賃金の3倍近い引き上げを要求し、抗議デモが発生。首都ダッカを取り囲む通りに多くの人々が動員され、動揺を巻き起こした。

このデモにより、いくつかの工場は閉鎖を強いられ、警察は催涙ガスやゴム弾をデモ参加者に使用するなど、危険な状況が続いていた。CNNでは、抗議行動中に3人の労働者が死亡し、そのうち1人は工場火災で、1人は警察との衝突で死亡したと報じられた。

H&Mのサプライヤー賃金改定への取り組み

H&Mがバングラデシュのサプライヤーへの賃金改定とそれに伴う価格の引き上げを行うのは、今回が初めてではない。同社は、2013年と2018年に同国での最低賃金の改定をし、価格の引き上げを行ってきた。

またH&Mは、パンデミック時に、世界の主要ブランドの中で ”初めて”、すべての注文の代金を決済した企業でもある。バングラデシュ・アパレル・エクスチェンジの創設者兼CEOであるモスタフィズ・ウッディン(Mostafiz Uddin)は、「同社のこうした動きが、他のブランドを追随させ、世界中の何千ものサプライヤーのキャッシュフローを可能にした。」という。

不満が募るバングラデシュの縫製労働者たち

バングラデシュ政府は、賃金を56%増の12,500タカ(113ドル)に引き上げるなど、部分的には要求に耳を傾けたように見えるが、多くの労働者の権利団体は、この決定に納得していない。

今年10月、H&Mとバングラデシュの工場で働く他の小売業者は同国の首相に書簡を送り、労働者の基本的ニーズをカバーする最低賃金を政府に提案するよう要求した。同様の要求はアメリカ政府からも出されており、アメリカ政府はバングラデシュに対し、最低賃金を再検討し、労働者が直面する経済的圧力に対処するよう求めている。

縫製労働者たちは12,500タカ(113ドル)の賃上げに抗議する中で、「過去5年間、賃金上昇が同国のインフレに追いついていない」と主張した。