エルメス(Hermès)がフランス・ボルドー近郊ジロンド県のルプに、同社25番目となるレザーグッズ工房を開設した。開所式は4月10日(金)に執り行われ、エグゼクティブ・チェアマンのアクセル・デュマ(Axel Dumas)が地元関係者とともに出席。業界全体が投資を抑制するなかで、生産能力の拡大を推し進める姿勢を改めて示した。
「マロキヌリー・ドゥ・ルプ」は現在140名の職人が勤務しており、数カ月以内に260名規模への拡充を見込む。生産はアイコンバッグ「ケリー」を中心に、「コンスタンス」および「ブリッド・ドゥ・ジュール」を手がける。ジロンド県内ではサン=ヴァンサン=ド=ポールの「マロキヌリー・ドゥ・ギュイエンヌ」(2021年開設)に続く2番目の生産拠点となり、両拠点でエルメス第8の地域レザーグッズ・ハブを形成する。
サステナビリティを体現する建築
新工房は低炭素コンクリートの基礎、木造の軽量構造体、バイオ素材を組み合わせた設計で、露出したパインの骨組みが建物の中心的なデザイン要素となっている。地熱エネルギーによる暖房、太陽光パネル、雨水回収システムを備え、エネルギーと水資源の負荷軽減を図る。
職人の採用にあたっては、社内研修機関「エコール・エルメス・デ・サヴォワールフェール」を活用。レザークラフトを志す人すべてに開放された無償かつ有給の研修プログラムを提供しており、全職人が18カ月の課程を修了してから生産ラインに配属される。
今後さらに3つの新工房を計画
ルプ工房の開設は、エルメスが進める長期的な生産拡大戦略の一環である。同社は公式発表を通じて、今後フランス国内において新たなレザーグッズ工房の開設を継続していく方針を明らかにしている。
現時点で計画されている新拠点は、ノルマンディー地方ウール県のレ・ザンドリ、アルデンヌ県シャルルヴィル=メジエール、カルヴァドス県コロンベルの3カ所。今回のルプ工房の稼働により、これらが次に開設される拠点となる見通しだ。
なお、ルプ以前に直近で開設された工房は、2024年9月に稼働したリオム拠点であり、同工房では「バーキン」および「コンスタンス」の製造が行われている。
逆風下でも揺るがぬ成長路線
この拡張方針は、ラグジュアリーセクター全体が慎重姿勢を強めるなかで異彩を放つ。世界最大のラグジュアリーコングロマリットであるLVMHが2026年第1四半期に株価28%下落を記録する一方、エルメスは2025年度に売上高5.5%増の160億ユーロを達成し、業界全体を覆う数四半期にわたる減速をものともしなかった。
レザーグッズを主にフランス国内で製造、原材料の調達から最終的な職人仕上げまで全工程を自社管理する体制が、同社の価格決定力とエクスクルーシビティを維持する原動力である。
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