アメリカ Tiktokの使用禁止相次ぐ テキサス、メリーランドなど5つの州で

アメリカではTiktokの使用禁止令が相次いでいる。

2年前にドナルド・トランプ前大統領が米国でのTikTokの使用禁止令を試み、結果的にその法令は実行されずに終わってしまったが、今になって州政府は中国生まれのアプリを取り締まろうとしている。

12月6日、メリーランド州のラリー・ホーガン知事(Larry Hogan)は、中国とロシアの特定企業の製品とプラットフォームを州政府機関で使用することを禁じる緊急命令を発表した。Z世代を中心に人気を集めている動画共有アプリTikTokを始め、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、ZTE、中国テック大手のテンセントとアリババ、ロシアのウイルス対策ソフト大手カスペルスキーの製品が対象となる。

また続く12月7日には、テキサス州が政府のデバイスにおけるTikTokの使用禁止を発表。

もともとアメリカのネブラスカ州では、2020年8月から政府デバイスからTikTokを使用することを非合法化されていたが、これによってメリーランド州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テキサス州の4 つの州が新たに、国家安全保障上のリスクがあるとし、TikTokの使用禁止令を出した事になる。

メリーランド州のホーガン知事は今回の緊急命令について、「これらの企業がもたらすサイバーセキュリティー上のリスク」を指摘し、対象製品が中国とロシアによるスパイ行為や政府機関の監視、機密情報の不適切な収集に使われる恐れがあると言及した。

米国政府は、一般市民に対してTikTokへのアクセスを制限することは法的に難しいとされているが、政府発行の電話とコンピューターにおいてはアプリ使用の禁止を実行する権限がある。

2000年代半ばにソーシャル メディアが普及して以来、フェイスブック(Facebook)、ユーチューブ(YouTube)、ツイッター(Twitter) など、世界中の多くのユーザーから人気を集めるプラットフォームの多くは米国企業が所有していたが、Tiktokだけは中国企業のバイトダンス社(ByteDance)が所有する”例外”だった。

連邦及び州の当局者は、TikTokの個人情報の取り扱いなどに対して絶え間なく質問を投げかけてきた。TikTokは、「中国政府は編集ポリシーを管理しておらず、アメリカ人のユーザーデータにアクセスできない」と繰り返し主張しているが、ここ最近のBuzzFeedのレポートでは、これに対して更なる疑問が投げかけられていた。

また、今週テキサス州知事のグレッグ・アボット(Greg Abbott)は、「TikTokは、ユーザーのデバイスから膨大な量のデータを収集している。これは、ユーザーがいつ、どこで、どのようにインターネット活動を行っているかという情報が含まれており、潜在的に機密性の高い情報を中国政府に提供している」と、州政府の機器でTikTokの使用禁止求める書簡を州の機関の長へ送付した。

これに対しTikTokは、政府の懸念は「主に誤った情報によって助長されている」と記し、同社は「TikTok を使用してコミュニティを構築し、有権者とつながる多くの州機関、オフィス、大学が私たちのプラットフォームにアクセスできなくなることに失望している」と付け加えた。

現在、米国でTikTokを禁止しているのは、前述した5つの州の政府機関だけではない。以前より、国防総省、国務省、国土安全保障省などの連邦政府機関では、従業員に支給しているデバイスからのTikTokの使用を禁止している。

ドナルド・トランプ前大統領は、2020年8月に、米国市民と企業によるTikTok との「取引」を禁止する大統領令を発行し、より抜本的な措置を講じようとしていた。しかしTikTokは訴訟を起こし、トランプが任命した裁判官は、トランプが発動した緊急経済権限法における通信技術のカーブアウトをめぐって命令を停止した。(憲法修正第1条の異議申し立てもあったが、裁判官はそのメリットについて検討せず。)

しかし、トランプはバイデン政権の権限の下で今日まで続いているTikTokへのより実質的な調査を開始。ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官が率いる省庁間の機関である対米外国投資委員会(Cfius) は、アプリの国家安全保障に関するレビューを実施している。

こうした動きから、今後も更にTikTokの使用を制限する州政府が増える可能性があるだろう。