11月5日(現地時間)、アマゾン・ドット・コム(Amazon.com Inc.)社は、20ドル以下の衣料品を販売する加盟店に対する販売手数料を引き下げるという重要な動きを見せ、中国のファストファッションであるシーイン(Shein)との価格競争に備える姿勢を示した。
この発表で、アマゾンは1月から15ドル以下の衣料品の販売手数料を5%に引き下げる計画を明らかにした。さらに、15ドルから20ドルの衣料品の手数料は10%に引き下げられる。これまでは両カテゴリーとも17%の手数料がかかっていた。
同社がオンライン・プラットフォームの加盟店に対する紹介手数料を引き下げるのは珍しいことで、他に同様の変更は言及されていない。この決定は、手頃な価格の衣料品を提供する加盟店を引き付けたいというアマゾンの意図を明確に示している。
インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence.)社によると、同社はアメリカのEコマース市場を支配しており、オンラインで消費される3ドルのうち1ドル以上を獲得しているという。これは、アマゾンに最も近いオンライン競合であるウォルマート社の約6倍の規模にのぼる。
そんなアパレルのEコマース市場においても優位性の高いアマゾンだが、近年では、中国企業からの新たな挑戦に直面している。
そのひとつが、2024年に新規株式公開を予定しているシーインだ。同社は、超低価格帯のアパレル販売で急激な成長を見せ、現在、900億ドルの評価額が付けられている。また同社は、これまでに単なるアパレルブランドとしての販売から、マーケットプレイスプラットフォームへの移行を示唆していた。伝えられるところによると、同社はメキシコ、ブラジル、米国でのマーケットプレイスの展開を計画し、ヨーロッパ市場への進出も視野に入れているようだ。
また、昨年米国でサービスを開始したショッピングアプリのテム(Temu)も、幅広い商品で大幅な割引を提供している。さらに、北京に本社を置くバイトダンス(ByteDance Ltd.)社が所有するソーシャルメディアアプリTikTokも、独自のショップをアプリ上に展開し、米国市場に参入していることから、中国発のプラットフォームが持つ影響力の大きさが際立っている。