フランスを代表するラグジュアリーファッションメゾン「クロエ(Chloé)」は、2027年スプリングコレクションを発表した。メゾンのヘリテージとの継続的な対話から生まれた同コレクションは、クロエを象徴する表現としてのテーラリングに改めて焦点を当てるものだ。
立ち返るのは、1990年代後半というメゾンにとって重要な時代。英国サヴィル・ロウの伝説的テーラー、エドワード・セクストン(Edward Sexton)がクロエのアトリエに加わり、精緻な仕立てをフェミニンな世界観に持ち込んだ、サルトリアルの記憶である。


PHOTOGRAPHED BY BRIANNA CAPOZZI. Courtesy of Chloé
Summary
- クロエが、シェミナ・カマリによる2027年スプリングコレクションを発表
- 1990年代後半、サヴィル・ロウの名手エドワード・セクストンがクロエのアトリエで築いたテーラリングの章に立ち返る内容
- スリーピーススーツやアワーグラスジャケットなどの構築的な仕立てに、ランジェリートップや「flou」の柔らかさを対置
- ビジュアルはデボラ・ターバヴィルの写真作品に着想。キャンペーンはブリアンナ・カポッツィが撮影し、アレクサ・チャンらが出演
- 2026年11月よりクロエブティックおよびChloe.comで発売予定
サヴィル・ロウとクロエが出会った、1990年代後半へ
エドワード・セクストンは、1960年代後半から70年代にかけて英国メンズテーラリングを再構築し、ビートルズ(The Beatles)やミック・ジャガー(Mick Jagger)の衣装を手がけたことでも知られる人物だ。1990年代後半、彼はテーラリングのエキスパートとしてクロエのアトリエに参画し、サヴィル・ロウならではの精緻な仕立てと力強いプロポーションを、メゾンのセンシュアルなスピリットに重ね合わせた。
コレクションは、このサルトリアルの伝統との対話を礎に、テーラリングをヘリテージであると同時に、進化し続ける表現として再解釈する。メゾンの歴史における重要な瞬間が、今日のクロエの揺るぎないアイデンティティをどう築いてきたのか——その探求が、コレクション全体を貫く軸となっている。


構築的な仕立てと「flou」の対話
今シーズンのテーラリングは、ロングジャケットやスリーピーススーツによって存在感を放ち、クロエのワードローブに洗練された新たなプロポーションを確立する。コンパクトなアワーグラスジャケット、マイクロ丈のライディングコート、グレーメランジウールやホワイトのピンストライプによるシャープな仕立てには、レースアップのウエストコートやクロップドランジェリートップ、軽やかに流れる「flou」を組み合わせ、構築的なフォルムと柔らかさが自然に調和するシルエットを描く。
流れるようなスリップやガーメントダイのランジェリードレス、贅沢にレースをあしらったflouが軽やかな動きをもたらし、パレットはパステルニュートラルと陽光に褪せたような色調を、ブラックとホワイトが引き締める。ブラックのガロンレースやトリミングが、コレクション全体に奥行きと輪郭を与えている。


ターバヴィルの写真が導く、記憶と現実のあわい
ビジュアルのインスピレーション源となったのは、デボラ・ターバヴィル(Deborah Turbeville)の写真作品だ。ファッションと感情の境界を曖昧にし、物語よりも雰囲気を重視した彼女の作品世界。柔らかな光と親密な空間の中で、記憶と現実の狭間に佇む女性たち——その感性がコレクションにも息づき、それぞれのシルエットに控えめで親密なセンシュアリティをもたらしている。
キャンペーンはブリアンナ・カポッツィ(Brianna Capozzi)が撮影。アレクサ・チャン(Alexa Chung)、ジェシカ・ミラー(Jessica Miller)、ブルーナ・ソウザ(Bruna Souza)、エラ・ヴァレンシ(Ella Valensi)、トントン・チェン(Tongtong Chen)、グレタ・ヘルボルグ(Greta Hellborg)、ガートルード・ローズ(Gertrud Rose)、クレメンタイン・マーフィー(Clementine Murphy)が登場する。

エフォートレスなフェミニニティの現在地
クロエは1952年、エジプト生まれのパリジェンヌ、ギャビー・アギョン(Gaby Aghion)が設立。レディ・トゥ・ウェアのパイオニアとして、フォーマルなファッションから女性を解放してきた。現在は、セントラル・セント・マーチンズでルイーズ・ウィルソンに学び、サンローラン(Saint Laurent)のウィメンズ・レディ・トゥ・ウェアのデザイン・ディレクターを経て2023年10月に復帰したシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)がクリエイティブ・ディレクションを担う。
2027年スプリングコレクションが示すのは、センシュアリティを決して過度にではなく、さりげなく表現するというメゾンの現在地だ。構築性と軽やかさ、規律と自発性の間を行き交うドレッシングの言語は、テーラリングがクロエの進化し続けるアイデンティティを象徴するシグネチャーであることを、改めて印象づけている。
コレクションは2026年11月より、クロエブティックおよびChloe.comで発売予定だ。
Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.