フランス発のファッションブランド「コペルニ(Coperni)」は、6月11日(現地時間)、パリ商業裁判所による司法再建手続きの適用を受けたことを明らかにした。ブランドを運営するコペルニSASは、裁判所の保護のもとで事業を継続しながら再建を進めることとなる。
テクノロジーとファッションを融合した革新的なクリエーションで注目を集めてきたコペルニ。しかし2026年3月には予定していたパリ・ファッションウィークでのショーを見送り、ブランドを巡る状況に業界内でさまざまな憶測が広がっていた。
Summary
- コペルニがパリ商業裁判所による司法再建手続きの適用を受けたことを発表
- 筆頭株主であり独占ディストリビューターであるトゥモロー・グループとの対立が背景にあると説明
- 裁判所の保護により事業継続と従業員保護が可能となる見通し
- 創業者らはブランドの再建と将来への投資継続に意欲を示した
事業継続を支える裁判所の保護
今回の手続きの対象となるのは、ブランドのクリエイティブおよび運営部門を統括するコペルニSASである。
司法再建手続きにより、同社はフランスの法制度のもとで事業を継続しながら財務状況の整理を進めることが可能となる。これは企業の清算を目的としたものではなく、事業継続と雇用維持を優先する再建措置である。
共同創業者であり社長を務めるアルノー・ヴァイヤン(Arnaud Vaillant)は声明の中で「この手続きの開始によって、裁判所はCoperniが創造活動を継続し、チームを守り、そして未来を築くことを可能にしてくれました」と述べている。
トゥモローとの関係悪化が表面化
ブランドによると、今回の財務問題の背景には、筆頭株主かつ独占ディストリビューターであるトゥモロー・グループ(Tomorrow Group)との対立があるという。
コペルニは2019年以降、トゥモローの支援を受けながら急成長を遂げてきた。ブランド側は声明の中で、トゥモローが数か月にわたりブランドへ支払うべき資金の送金を停止したことで、深刻なキャッシュフロー問題が発生したと説明。
トゥモローはブランドの卸売事業を管理し、売上金を受領したうえで契約に基づくロイヤルティや各種支払いを行う役割を担っていた。しかし卸売市場全体の低迷や経営環境の悪化により、同グループの財務状況も大きく悪化していたとされている。
創業者によるブランド奪還へ
コペルニは2013年、セバスチャン・メイヤー(Sébastien Meyer)とアルノー・ヴァイヤン(Arnaud Vaillant)によって設立されたブランドだ。2019年にはブランドの本格的な再始動にあわせてトゥモロー・グループをパートナーに迎え、グローバル展開を加速させてきた。
しかし2026年3月、トゥモローがイタリアの投資会社プロジェット11(Progetto 11)へ売却されたことで状況は大きく変化した。
業界関係者の間では、ヴァイヤンとメイヤーがブランドの経営権を取り戻すべく、プロジェット11との協議を進めているとみられている。今回の司法再建手続きによって事業継続の基盤が確保されたことで、創業者主導による再建シナリオにも現実味が増した。
デザイン、テクノロジー、カルチャーの交差点として
コペルニは近年、テクノロジーとファッションを融合させる革新的な取り組みで注目を集めてきた。
パリのディズニーランドを舞台にしたランウェイショーをはじめ、モデルの身体に直接スプレーを吹き付けてドレスを形成する「スプレードレス」のパフォーマンス、さらにはNASAが開発した超軽量素材「エアロゲル」を採用した特別仕様の「エアスワイプバッグ(Air Swipe Bag)」の発表など、既成概念にとらわれないクリエイションを次々と打ち出している。こうした挑戦的なプロジェクトを通じて、同ブランドは現代ファッションにおけるテクノロジー活用を象徴する存在として世界的な認知を高めてきた。


声明の最後でヴァイヤンはブランドの将来について次のように語っている。
「2019年以来、Coperniはデザイン、テクノロジー、そしてカルチャーが交差する場所で、現代フランスファッションのビジョンを体現してきました。この物語は今も続いています。」
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