Deep Dive
ブランドエクイティの構成要素
David Aakerのブランドエクイティモデルでは、ブランド認知度、ブランド連想、知覚品質、ブランドロイヤルティ、その他のブランド資産(特許、商標等)の5つの要素が定義されている。ファッション業界では、これらに加えて「ブランドヘリテージ」と「クリエイティブディレクターの影響力」が重要な構成要素となる。Chanelの100年を超えるヘリテージ、Hermèsの職人技へのコミットメント、Diorの継続的なクリエイティブリインベンションは、それぞれ異なるアプローチでブランドエクイティを構築・維持している。LVMHグループの時価総額がフランスのGDPの一部に匹敵する規模に成長したのは、傘下ブランドのエクイティの総和が持つ経済的パワーの証明である。
ブランドエクイティの測定と管理
ブランドエクイティの測定は、定量的指標と定性的指標の両面から行われる。定量的にはBrand Finance やInterbrand のブランド価値ランキング、プレミアムプライシング能力(同等品質の無名商品との価格差)、リピート購入率などが用いられる。定性的にはブランド認知度調査、ブランドイメージ調査、NPS(ネットプロモータースコア)などが活用される。ソーシャルメディア時代には、SNSのエンゲージメント率やセンチメント分析もブランドエクイティの重要な指標となっている。ブランドエクイティの管理において最も重要なのは一貫性であり、コミュニケーション、プロダクト、サービスのすべてにおいてブランドの約束を守り続けることが求められる。
ブランドエクイティの毀損と回復
ブランドエクイティは長年の積み重ねで構築されるが、毀損は一瞬で起こり得る。品質問題、不適切な広告、文化的無理解によるスキャンダル、過度なディスカウントなどが主な毀損要因である。Dolce & Gabbanaの中国市場での広告炎上、Burberryの製品焼却報道は、ブランドエクイティ毀損の典型例として知られる。回復には、透明性のある対応、具体的な改善策の実行、長期的なコミュニケーション再構築が必要である。Gucciは、Alessandro Michele起用によるクリエイティブの刷新と、サステナビリティへの真摯な取り組みにより、ブランドエクイティの劇的な回復と強化を実現した。
OSFパースペクティブ
OSFは、ブランドエクイティをファッションビジネスの「見えない資本」と位置づけている。バランスシートには載らないが、消費者の心の中に蓄積された信頼、憧れ、記憶こそが、ブランドの真の価値である。デジタル時代において、ブランドエクイティの構築はより民主化され、同時により脆弱になった。一つのSNS投稿が数十年のエクイティを脅かす時代だからこそ、ブランドの本質的な価値にこだわり続けることが重要である。
関連用語
ブランドライセンシング, ブランドアイデンティティ, ブランドロイヤルティ, ブランドヘリテージ, ブランドマネジメント
注目ブランド
LVMH, Hermès, Chanel, Nike, Gucci