Deep Dive
ディフュージョンラインの歴史
ディフュージョンラインの概念は、1960年代のPierre Cardinによるライセンスビジネスの拡大に端を発するが、本格的に普及したのは1990〜2000年代である。Armaniはメインライン(Giorgio Armani)からEmporio Armani、Armani Exchange、Armani Jeansまで、複数のディフュージョンラインを展開する先駆的なモデルを構築した。Donna KaranのDKNY、Marc JacobsのMarc by Marc Jacobs、PradaのMiu Miuなど、デザイナーブランドが次々とセカンドラインを立ち上げた。これらのラインは、若い消費者がラグジュアリーブランドの世界に入るエントリーポイントとして機能し、将来のメインライン顧客の育成に貢献した。
ディフュージョンラインの衰退と再定義
2010年代に入り、ディフュージョンラインの統廃合が急速に進んだ。Marc by Marc Jacobs、DKNY(一度売却)、Burberry Brit/Prorsum(Burberryに一本化)など、多くのセカンドラインが廃止またはメインラインに統合された。その背景には、ブランド希薄化のリスク、ファストファッションとの価格競争激化、D2Cブランドの台頭による中間価格帯の圧迫がある。また、SNS時代においては消費者がメインラインのイメージと乖離したディフュージョンラインに違和感を持つようになった。一方でMiu Miuは、独自のアイデンティティを確立することでディフュージョンラインの成功例として際立っている。
現代的な価格帯拡張戦略
ディフュージョンライン廃止後のブランドは、別の手法で価格帯の拡張を図っている。H&MやUNIQLOとのデザイナーコラボレーション、限定カプセルコレクション、アクセサリーやビューティラインでの低価格帯商品展開などが代替戦略として機能している。GucciのVault(ヴィンテージと新進デザイナーのプラットフォーム)やBalenciagaのゲーミングコラボなど、デジタルを活用した新たなアプローチも登場している。日本市場では、COMME des GARÇONSのPLAY、ISSEY MIYAKEのBAO BAO、sacaiのセカンドラインなど、独自の世界観を持つサブブランド展開が成功事例として注目される。
OSFパースペクティブ
OSFは、ディフュージョンラインの栄枯盛衰にファッション産業の構造変化を見ている。かつての「安価な入口」という役割は、コラボレーションやデジタルコンテンツに置き換えられつつある。重要なのは価格帯の拡張そのものではなく、どの価格帯においてもブランドの本質的な価値が損なわれないクリエイティブの一貫性である。
関連用語
セカンドライン, ブランドアーキテクチャ, ライセンシング, コラボレーション, ブランドエクステンション
注目ブランド
Miu Miu, Emporio Armani, COMME des GARÇONS PLAY, BAO BAO ISSEY MIYAKE, COS (H&M)