6月20日(現地時間)、桑田悟史による「セッチュウ(SETCHU)」は、ミラノ・ファッションウィーク・メンズにて2027年春夏コレクションを発表した。タイトルは「Caught in the Nets(網にかかって)」。
今季、桑田はブランドの根幹にある折り紙的な構築性をさらに発展させながら、「網」という新たなモチーフを通して身体と衣服の関係性を再考した。そこには、保護と露出、完成と未完成、男性性と女性性といった境界線を問い直す視点が込められていた。

ショーの幕開けを飾ったのは、黒いレザーコードによる巨大なネットを頭上からまとったルックだった。
身体を覆い隠しながらも、その輪郭を際立たせる姿は、神話に登場するジェンダーレスなセイレーンを思わせる。今季を象徴するネットには、日本の伝統的な結び方である「Japanese Square Knot(真結び)」が採用されていた。さまざまな色のレザーコードを結び合わせて形成されたこのネットは、ガボンでの旅の記憶と日本のクラフトマンシップを結びつけながら、コレクションに独自の奥行きを与える。
円と長方形
今季のコレクションのシルエットの核となったのは、長方形と円という二つの幾何学である。
長年、折り紙や着物に見られる平面的な構造に着目してきた桑田は、今季そこへ円形の開口部という新たな要素を導入。トップスやドレスに施された円形のホールは、布を削り取ることで新たな立体を生み出し、平面と立体の境界を曖昧にしていく。
それは服を「組み立てる」のではなく、「布そのものから形を引き出す」ようなアプローチであり、ブランドが追求してきた構築美の新たな発展形と言える。長方形と円というシンプルな形態から生まれる造形は、桑田が一貫して探求してきた平面と立体の対話をより鮮明に映し出していた。


未完成性の美学
一方で、完成された衣服として見せない姿勢も見られた。パンツやコートにはしつけ糸があえて残され、パターン線や縫製の痕跡が隠されることなく露出している。
それは、クラフトマンシップの誇示ではなく、衣服を常に変化し続ける存在として、つくられていく過程そのものに美しさを見出すようだ。
また、足元には下駄から着想を得た厚みのあるフットウェアが登場した。日本の伝統的な履物を現代的なプロポーションへと再解釈したデザインは、セッチュウが一貫して追求してきた、日本文化とモダンなテーラリングの融合を象徴している。


ショー後半には、透け感のある素材やネット状のディテールを用いたルックが登場した。軽やかに揺れるシフォンや流動的なドレープは、身体を包み込みながらもその自由を妨げない。ネット、円形の開口部、そして流れるようなシルエット。それぞれ異なる要素でありながら、身体と衣服の関係性を問い直そうとする今季のテーマへと収束していく。


相反する要素を共存させながら、セッチュウは今季もまた衣服の可能性を押し広げた。そこに描かれていたのは、完成と未完成、保護と露出、男性性と女性性といった境界が揺らぐ現代の姿である。
セッチュウ 2027年春夏コレクションの全てのルックは、以下ギャラリーから。
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