シーイン(Shein)とフォーエバー21(Forever 21)が提携

Shein

8月24日(現地時間)、超低価格で知られるファストファッションブランドのシーイン(Shein)が、フォーエバー21(Forever 21)の親会社である米国のスパーク・グループ(SPARC Group)との提携を発表した。シーインはスパークの株式約3分の1を取得し、スパークもシーインの少数株主となる。この提携により、中国で設立されたシーインは、北米進出の更なる拡大を目指す。

現在、シーインの電子商取引(Eコマース)の基盤は150カ国以上に広がっており、ソーシャルメディア上のフォロワー数は2億5千万人を超える。取り交わされた契約の一環として、将来的にシーインの商品は、フォーエバー21のアウトレットでショップインショップとして運営され、同時にフォーエバー21の衣服はシーインのウェブサイトで取り扱われることになる。具体的な財務数値は公表されていないが、この提携契約には、双方のパートナーがお互いの株式に出資することも含まれている。

スパークは声明の中で、「この買収はスパーク・グループにブランドをさらに成長させるためのプラットフォームを提供する」と発表。

スパークの最高経営責任者であるマーク・ミラー(Marc Miller)氏は、「両社が協力することで、世界中のファッション愛好家に、より革新的で流行を先取りする商品を提供していく」と述べた。

シーインと言えば、一部のファッション商品を5ドル以下で販売するなど、ザラ(ZARA)やH&Mのような一般的なファストファッションブランドの価格帯をさらに下回る「超低価格アパレル」として急速に頭角を現した。超低価格帯商品の背景には、不透明なサプライチェーンや劣悪な労働環境などがしばしば問題視されており、米国では厳しい監視の目を向けられることもある。さらに、年間を通じて大量のポリエステル製低価格衣料品を生産しているため、二酸化炭素排出量に関する懸念が持続的に存在している。その他にも、他社製品のデザインを模造し販売したとして複数のブランドから訴訟を起こされるなど、これまでにいくつもの炎上があることも事実だ。

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フォーエバー21もまた、全盛期には800店舗を展開し、一気に世界的なファストファッションブランドへと駆け上がってきたブランドだ。一方、近年では、これまで同社が主にモールを中心に据えた戦略に依存してきたことが要因となり、多くの消費者がオンラインショッピングに移行したことで、厳しい状況に直面していた。2020年にはこの状況を受けて、サイモン・プロパティとオーセンティックを含むブランド・コンソーシアムによって買収され、なんとか倒産を回避した。

シーインとフォーエバー21は、両社の主要な顧客層がZ世代であるということが、最大の共通点だ。この提携によって、両社がオンラインでのリーチを拡大し、適切な消費者に向けて存在感を高めていくことが期待されている。

シーインの執行会長を務めるドナルド・タン氏は、「サイモンの実店舗小売におけるリーダーシップ、オーセンティックのブランド開発に関する専門知識、そしてシーインのオンデマンド・モデルの強力な組み合わせは、私たちがスケーラブルな成長を推進し、共にファッションをより身近なものにするのに役立つでしょう」と、声明の中で述べた。