ファストファッションSHEIN(シーイン)へ投げられたthredUP(スレッドアップ)のボイコットマーケティング

Z世代から支持されるファストファッションブランドSHEIN (シーイン)

中国のファストファッションブランドとして、日本でもZ世代を中心絶大な人気を誇る人気があるファストファッションブランドがSHEIN(シーイン)だ。

SHEIN(シーイン)とは現在、世界中で若い年齢層の顧客を中心に支持されており、この数年で一気に大幅に売り上げが増加している。

人気を集めている大きな1番の理由が何よりも安い価格帯であり、1着あたりの平均販売価格はなんと日本円で約1200円。

SHEIN
SHEIN

SHEIN(シーイン)は本社のある中国の広州に巨大な倉庫があり、そこから世界各地に発送しているが、その他大手ファストファッションブランドと同様に、データ分析に基づいて毎日6000個のアイテムを新規投入し、商品は約25日で完売するようなビジネスモデルを構築していると言われている。

また、SHEIN(シーイン)がここまで世界的に人気を集めることができた理由が、ソーシャルメディアを活用したPR戦略の強化だ。

SHEIN(シーイン)のソーシャルメディアでは総フォロワー数が約2.5億人を誇っており、コロナ禍の時期にInstagram(インスタグラム)やTikTok (ティックトック)を利用し、フォロワー獲得のために各国のインフルエンサーや有名人を大量動員して、ターゲット層の10代~20代の注目を一気に集めたことが大きなビジネスの成長に繋がったようだ。

同時に中国で大ブームとなったライブコマースを海外でも積極的に展開し、購入率アップに反映させている。

そんなファストファッション界でZ世代の指示を得て、一気に上り詰めたSHEIN(シーイン)だが、サステイナブルの観点からは多くの批判の声が集まっている。

thredUP(スレッドアップ)の挑発的なマーケティング

SHEIN(シーイン)は6月24日から26日までアメリカのサンフランシスコでポップアップストアを開催。

これに対してボイコット運動を顧客に呼びかけたのが、アメリカのアパレルリセールプラットフォームであるthredUP(スレッドアップ)だった。

thredUP (スレッドアップ)とは、数年で急成長を遂げた中古品アパレル売買を目的としたプラットフォーム。着なくなったファッションアイテムを誰でも再販することができる。

そんな日頃からリサイクル、サステイナブルファッションに貢献しているthredUP(スレッドアップ)は、ファストファッションであるSHEIN (シーイン) の開催するポップアップショップに対して、顧客にイベントへのボイコットを呼びかけ、メールとソーシャルキャンペーンで売上を中古品市場へと向けようとしていた。

元々thredUP(スレッドアップ) はサンフランシスコ・ベイエリア地域のオークランドに拠点がある会社だが、彼らはこの地域の会員メンバーに対してプッシュ通知を送り、「サンフランシスコで開かれるShein (シーイン) のポップアップストアで買い物をしないでください。」という事を約束するように求め、メールを通じて自社サービスの割引や無料配送を提供したのだ。

実際にthredUP(スレッドアップ)のインスタグラムでは、埋立地の写真に「Skip the #sheinsanfran pop-up!(サンフランシスコでのシーインのポップアップに参加しないで)」というメッセージを掲げた投稿がされている。

thredUP Instagram

この過激とも言える行為は、SHEIN(シーイン)のポップアップがスタートしてからわずか数時間で既に買い物客の間で話題となり、thredUP(スレッドアップ)のインスタグラムにはこの呼びかけに対して、フォロワーからの応援や共感するコメントが多数寄せられた。

今回thredUP(スレッドアップ)が行った、あるリテール企業がほかの企業を名指しで非難するという行為だが、こういった前例はこれまでにほとんどなく、「アパレル企業がサステイナブルという問題を利用して、顧客を惹きつけた最新のマーケティング事例」と言えるだろう。

しかしZ世代といえばサステナビリティや流行ファッションが環境にどう影響するかについて興味、関心が高い人たちが多い傾向にあると言われているが、何故ファストファッションであるSHEIN(シーイン)が人気を集め、売り上げを上げているのだろうか。

そのような格安ファッションアイテムが売れる背景として、インフレや経済不況の懸念が大きく影響していると言われている。

多くの人が環境に配慮された企業から商品を購入したいという気持ちがある反面で、様々な製品の値上げなどがあり、結局消費者はサステイナブルへの意識よりも、安さや手軽さを求めてしまう人が多くなっているというのが現状なのだ。