6月27日(現地時間)、「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」は、2027年春夏コレクション「The Persistence of Memory(記憶の持続)」をパリ・ファッションウィーク・メンズにて発表した。
ブランドを手掛ける大月壮士は、自身の思い出だけでなく、写真や映画、人から語り継がれた体験を含む「記憶」をクリエイションの核に据え、今シーズンは「経験したことのないリゾートへの郷愁」をテーマに新作を制作した。
記憶の中にある“リゾート”を衣服で再構築
コレクションの着想源となったのは、非日常のリゾートで普段とは異なる振る舞いを見せる父親の姿である。旅先の高揚感によって、片方だけ襟が飛び出したシャツや、前が閉じきらないショーツ、そこからのぞくトランクスなど、本来であれば偶然生まれる着崩れを、衣服そのものの構造へと落とし込んだ。
ランウェイでは、リラックスしたムードと端正なテーラリングが心地よく共存。軽やかなシャツやショーツ、ゆとりを持たせたジャケットやトラウザーズに加え、淡いブルーやライトグリーン、生成り、グレー、ブラウンを基調とした穏やかなカラーパレットが採用された。シャツの襟やラペルの曲線、ウエストまわりのディテールなど、随所に「少しだけ崩れた美しさ」が散りばめられ、非日常のリゾートで生まれる開放感を繊細に表現していた。
また、ラペルやベルトにはブランドの頭文字「S」を思わせる曲線を採用し、着用者が意図せずとも自然にそう見えるよう設計。着崩しをスタイリングではなくパターンや内部構造によって実現することで、人間らしい不完全さや愛嬌がデザインに反映された。
“柔らかく見える”構造美を追求したソフトテーラー
今季、ソウシオオツキはブランド独自のソフトテーラリングにも新たな解釈を加えた。
一般的なソフトテーラリングが柔らかな素材や軽量な仕立てによって軽快さを表現するのに対し、今季は毛芯の構造やパターン設計そのものを見直すことで、視覚的な柔らかさを追求。ラペルの段返りや内部に金属を仕込んだベルト、成形されたカラーステイなど、綿密に設計されたディテールによって、重力に身を委ねたような自然な曲線を生み出している。
その発想の源となったのは、スペインの画家サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)の作品である。本来は硬い物体でありながら、溶けるように柔らかく見える逆説的な表現を、衣服の構造へと置き換えた。実際には内部構造によってフォルムを支えながら、あたかも自然に形が崩れたかのような印象を生み出すことで、「柔らかい」のではなく「柔らかく見える」テーラリングを提示した。
また、素材にはオリジナル開発の生地や、20年以上前のファブリックを再現した素材を採用し、すべて日本国内で生産した。
ウールやリネンは先染めによって経糸と緯糸を使い分けることで奥行きを演出し、コットンには後染めや洗い加工を施すことで、時間の蓄積を感じさせる表情を付与。カラーパレットも生命感より時間の経過を意識し、乾いたベージュや粘土質の赤茶、褪色したサックスブルーなど、紫外線や空気によって変化したような色彩で統一された。
5ブランドとのコラボレーションも発表
今季は、複数のブランドやクリエイターとの協業もコレクションに奥行きを与えた。
「アシックス・スポーツスタイル(ASICS SportStyle)」とは、新作シューズ「GEL-AXIS FF」を発表。「三陽山長(サンヨウヤマチョウ)」とはドレスシューズの要素を取り入れたグルカサンダル、「サンヨーコート(SANYOCOAT)」とは撥水加工を施したロングコートを制作した。さらに、「ブラックミーンズ(blackmeans)」とはレザージャケット、「コウタ オクダ(KOTA OKUDA)」とはタイピンやカフリンクス、ベルト、カラーステイを共同制作し、ブランドの世界観を多角的に広げている。
終盤にはブラックとホワイトを基調としたルックも登場。シーズン全体を通して、ソウシオオツキが追求するダンディズムと、わずかな崩れの中に宿る人間味が静かに共存するコレクションとなった。
ソウシオオツキ 2027年春夏コレクションのすべてのルックは、以下のギャラリーから。
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