「ティファニー(Tiffany & Co.)」は、アメリカ独立宣言署名250周年を記念し、1893年にシカゴで開催されたコロンブス記念万国博覧会のために製作された歴史的な「アストロノミカル クロック」を修復し、公開した。
7月3日(現地時間)にお披露目され、その後は、ニューヨーク5番街27番地に位置する旗艦店「ザ ランドマーク」に展示され、一般公開されている。

Courtesy of Tiffany & Co.
Summary
- ティファニーが、1893年のシカゴ万博のために製作された歴史的な「アストロノミカル クロック」を修復し公開
- ムーブメントには主に天文学に関する21の複雑機構を搭載。アメリカ独立からの経過年数を表示する機構は唯一無二で、2026年には「250th」を表示
- 2025年の取得後、ジュネーブの自社時計製作工房で約7か月をかけて修復
- 7月3日(現地時間)のお披露目を経て、ニューヨーク5番街の旗艦店「ザ ランドマーク」で一般公開中
- ルイ15世様式のケースは高さ約2.5メートル。マスタークロックメーカーのジョセフ・リンダウアー指揮のもと、2年以上をかけて製作された
1893年シカゴ万博のために生まれた傑作
同作は、ユニオン スクエアにあったティファニーストアの4階工房において、ティファニーのマスタークロックメーカーであるジョセフ・リンダウアーの指揮のもと製作された。完成までに2年以上を要した、同社の時計製造の歴史を象徴する一台である。
ルイ15世様式のケースは高さ約2.5メートルを誇り、優美なフローラルモチーフの彫刻と精巧なマルケトリー(象嵌細工)が施されている。正面には、金彩の縁取りを施した13枚の銀製および彩色された文字盤が、カリフォルニア産マザー オブ パールを象嵌したフレームに配される。

ジュネーブの工房で約7か月をかけ修復
2025年にティファニーが取得した本作は、ジュネーブにある自社の時計製作工房で約7か月をかけて丹念に修復された。外観の美しさと、精緻な機械式時計としての性能の双方に細心の注意が払われている。
今回の修復と、アメリカ独立宣言署名250周年に合わせた公開は、ティファニーが時計製作の歴史において築いてきた役割と、卓越したクラフトマンシップのレガシーを改めて示す取り組みである。同社はこの文化遺産の継承者として、コレクターや歴史家の心にも響く作品を通じて、歴史を守り未来へ受け継ぐ役割を担う。

21の複雑機構が刻む、多層的な時間
「アストロノミカル クロック」の最大の特徴は、天体の複雑な相互作用をひとつの時計で表現する21の複雑機構にある。その多くは現代の時計製作ではほとんど見られない機構であり、365日暦や24時間表示が刻む日常の時間から、天文学的現象を直接追跡する機構まで、多様な時間の概念をひとつのタイムピースに融合している。
時刻と15分ごとの経過をチャイムで知らせるウェストミンスター カリヨンをはじめ、黄道十二宮やうるう年まで表示する永久カレンダー、現地時間・グリニッジ標準時・ワシントンD.C.時間の時・分表示、世界31都市の現地時間を同時に示すワールドタイムを搭載。太陽と月の見かけ上の位置、日の出・日の入り時刻、月相、さらには水平線上の海で表現される潮の満ち引きまでを描き出す。
中でも、1776年のアメリカ独立からの経過年数を表示する機構は唯一無二の存在であり、2026年にはこの歴史的節目を記念して「250th」を表示する。ユリウス周期や均時差、太陽・月の赤緯といった希少な天文表示も備える。
さらに、太陽周期、主日文字、黄金数から導き出されるエパクトという、単独でも極めて希少な3つの複雑機構を組み合わせることで、春分後の教会暦上の満月を算出し、その満月の後に訪れる最初の日曜日を復活祭として定めることができる。

1847年から続くティファニーの時計製作
ティファニーの時計製作の歴史は、1847年に時計およびクロックの販売を開始したことに始まる。1868年にはジュネーブにオフィスと時計組立工房を開設し、1874年には同市の中心部にマニュファクチュールを設立。大西洋の両岸で活躍した時計職人たちは、卓越した技術力と専門知識をもとに、数々の革新的な機構を開発し特許を取得してきた。
独立250周年という節目に合わせて姿を現す「アストロノミカル クロック」は、そうしたティファニーのデザイン、クラフトマンシップ、そして技術革新への揺るぎない探求心を今に伝える存在といえるだろう。ニューヨークを訪れる際は、「ザ ランドマーク」でその精緻な機構美をぜひ確かめたい。
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