4月6日(現地時間)、LVMH モエ ヘネシー ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)は、傘下ブランドのフェンディ(Fendi)およびケンゾー(Kenzo)における新たな経営体制を発表した。いずれのブランドにもルイ ヴィトン出身の幹部がCEOとして就任し、グループ内での人材登用の方針があらためて明確となった。
2025年7月1日付でフェンディのCEOに就任するのは、ルイ ヴィトン 中国本土の社長兼CEOを務めてきたラモン・ロス(Ramon Ros)である。ロスは、LVMH会長ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)の上級顧問であるシドニー・トレダノ(Sidney Toledano)に直属するポジションとなる。
LVMHは、「ラモンの深いラグジュアリーリテールとクライアントリングの知見、製品への情熱、そして協調性のあるリーダーシップによって、フェンディのユニークな歴史と職人技へのコミットメントを守りながら、ブランドを新たな高みへと導きます」と評価を述べている。
ラモン・ロスは、スペインのバルセロナ大学およびIESEビジネススクールで学び、マークス&スペンサー(Marks & Spencer)を皮切りに、ディーゼル(Diesel)やトウス(TOUS)といったブランドで幹部を歴任。2013年にLVMHへ入社後は、ジバンシィ(Givenchy)中国のマネージングディレクター、同本社でのインターナショナル・ディレクターを経て、2020年からルイ ヴィトン中国本土にて活躍してきた。2022年には同地域のゾーンプレジデントに昇格している。
なお、フェンディの前CEOピエール=エマニュエル・アンジェログル(Pierre-Emmanuel Angeloglou)は、2025年4月15日付でクリスチャン・ディオール クチュール(Christian Dior Couture)の副CEOへと異動する。
一方、2025年5月1日付でケンゾー(Kenzo)のCEOに就任するのは、ルイ ヴィトンのメンズ・レディ・トゥ・ウェア部門でビジネスユニットディレクターを務めてきたシャルロット・クーペ(Charlotte Coupé)だ。彼女もまた、トレダノの直属となる。
LVMHは、クーペの起用について次のように述べている。「彼女の商品への深い情熱、ファッションへの高い知見、そしてファレル・ウィリアムスやNIGOといった象徴的かつ革新的なクリエイティブ・ディレクターとの協働経験が、ルイ・ヴィトンのメンズ部門の著しい成長に大きく貢献しました。」
シャルロット・クーペは、ラルフローレンやラコステでキャリアを積んだのち、2016年にルイ ヴィトンへ入社。現在に至るまでメンズ部門の中核を担ってきた。
ケンゾーの前任CEOであるシルヴァン・ブラン(Sylvain Blanc)は、ブランドの現代化と成長基盤を整備した後、グループを離れ新たなプロジェクトに挑戦する予定である。
また、ルイ ヴィトン 中国本土におけるラモン・ロスの後任には、アップル(Apple)の小売部門でVPを務めていたダニエル・ディチッコ(Daniel DiCicco)が就任する。2025年4月28日付で着任し、上海を拠点に活動する。ディチッコはソニー ミュージック(Sony Music)やコーチ(Coach)などを経て、アップルにてアジア市場を統括。今回のルイ ヴィトンでの新たな任務では、アジア市場の知見とリテール経験を活かしたローカルチーム強化が期待されている。
LVMHは今回の人事について、ラグジュアリービジネスにおける長期的なビジョンと、グループ内で人材を育成・登用していく姿勢を体現するものであり、次世代のリーダーシップ強化に向けた取り組みの一環であると位置づけている。
Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.