デンマーク発ジュエリーブランド「パンドラ(Pandora)」は5月6日(現地時間)、ラボグロウンダイヤモンド製品におけるカーボンフットプリント表示を開始すると発表した。従来、ダイヤモンドの品質評価基準として用いられてきた「4C(Cut、Colour、Clarity、Carat)」に加え、新たに「Carbon footprint(炭素排出量)」を“第5のC”として製品情報に追加する。
Summary
- パンドラが、ラボグロウンダイヤモンド製品にカーボンフットプリント表示を導入
- 従来の「4C」に加え、“第5のC”として「Carbon footprint(炭素排出量)」を追加
- 1カラットの「パンドラ・ラボグロウン・ダイヤモンズ」のCO₂e排出量は12.58kgで、採掘ダイヤモンド比約90%削減
- パンドラは2021年に採掘ダイヤモンドの使用を終了し、現在は100%再生可能エネルギー由来のラボグロウンダイヤモンドを採用
- ジュエリーには100%リサイクルシルバーおよびゴールドを使用
- カーボンフットプリント調査は外部専門家が実施し、「EY」が第三者検証を担当
- 算出手法や知見を他ブランドとも共有し、業界全体の透明性向上を目指す方針
今回の取り組みにより、「パンドラ・ラボグロウン・ダイヤモンズ」の製品ページでは、ダイヤモンドのカットやカラーなどの品質情報と並び、製造工程における温室効果ガス排出量が表示される。対象となる排出量には、ダイヤモンド生成に必要な原材料の製造から、成長、カット、研磨に至るまでの工程が含まれる。
同社によると、1カラットの「パンドラ・ラボグロウン・ダイヤモンズ」のCO₂e(CO2換算排出量)は12.58kg。同サイズの採掘ダイヤモンドと比較した場合、約90%低い水準だという。
パンドラ CEOのベルタ・デ・パブロス=バルビエ(Berta de Pablos-Barbier)は、「私たちは、ダイヤモンドの未来とは、より多くの人々にアクセス可能でありながら、消費者が自分の購入するものについて明確な理解を持てることだと考えています。サステナビリティを念頭にジュエリーを製作しており、“第5のC”の導入によって、消費者がより情報に基づいた選択を行えるよう支援したいと考えています」と述べている。
採掘ダイヤモンドから完全移行
ラボグロウンダイヤモンドは、採掘ダイヤモンドと同一の炭素構造を持ち、硬度や輝き、化学的特性においても同等とされる。真空チャンバー内で炭素を含むガスを用い、高温高圧環境下で数週間かけて人工的に成長させることで生成される。
「パンドラ」は2021年、採掘ダイヤモンドの使用を終了。現在は、100%再生可能エネルギーによって生成されたラボグロウンダイヤモンドのみを採用している。さらに、ジュエリーには100%リサイクルシルバーおよびゴールドを使用するなど、環境負荷低減を推進している。
こうした取り組みによって、製品全体のカーボンフットプリントも大幅に削減。例えば、1カラットのラボグロウンダイヤモンドをセットした14Kゴールド製「Pandora Infinite Ring」の環境負荷は、「ジーンズ1本と同程度」であるという。

調査結果はEYが検証
今回のカーボンフットプリント算出は、外部のライフサイクルアセスメント専門家によって実施され、監査法人「EY」による第三者検証も行われた。調査はISO 14067:2018、ISO 14040:2006、ISO 14044:2006などの国際基準に基づいている。
また、パンドラは、自社の算出方法や知見を他のジュエリーブランドとも共有していく方針を明らかにした。背景には、サステナビリティに対する消費者意識の変化がある。
デ・パブロス=バルビエは声明で、「消費者が製品の製造背景についてより深い知識を求める中で、“透明性”はブランドにとって決定的な要素になりつつあります。私たちは、自社の学びを他社とも共有していきたいと考えています」と、今後の展望についても述べている。
現在、「パンドラ・ラボグロウン・ダイヤモンズ」は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、デンマークで展開されており、今後さらに販売地域を拡大する予定だ。
透明性が“新たなラグジュアリー価値”となる時代
ラグジュアリー市場では近年、製品の美しさや希少性だけでなく、「どのように作られたのか」という背景情報そのものがブランド価値の一部になりつつある。特にZ世代やミレニアル世代を中心に、環境負荷やサプライチェーンの透明性を重視する傾向は強まっている。
こうした中、「パンドラ」がダイヤモンド業界の象徴的な評価基準である“4C”に新たな指標を加えたことは、従来のサステナビリティ施策に留まらず、ジュエリーの価値基準そのものを再定義しようとする動きだろう。
サステナビリティが“ブランドイメージ”ではなく“商品情報”として可視化され始めた今、ジュエリー業界は新たな比較基準を迎えようとしている。
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