OTBグループ、2025年サステナビリティレポートを発表:再生可能エネルギー比率81%達成、低環境負荷素材は29%へ拡大

OTB Group
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イタリア発ファッショングループ「OTB」は5月12日(現地時間)、2025年サステナビリティレポートを発表した。

レポートでは、「ディーゼル(Diesel)」「ジル サンダー(Jil Sander)」「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」「マルニ(Marni)」「ヴィクター&ロルフ(Viktor&Rolf)」などを擁する同グループが、環境負荷削減、循環型ファッション、人材育成、社会貢献の各分野で進めてきた取り組みと成果を公開した。

Summary

  • OTBは、2025年サステナビリティレポートを発表
  • 欧州事業における使用電力の100%を再生可能エネルギー由来へ転換し、グローバル全体でも81%に到達した
  • Scope1およびScope2の直接排出量を、2019年比で50%削減
  • グループブランドのコレクションで使用される素材の29%が、認証済みまたは低環境負荷素材となった
  • OTB Foundationは、2006年以降380件以上の社会貢献プロジェクトを支援し、38万人以上へ支援を提供してきた

再生可能エネルギー比率81%へ拡大、排出量も半減

OTBは、欧州事業における使用電力の100%を再生可能エネルギー由来へ転換したほか、グローバル全体でも81%に到達。これは、Science Based Targets initiative(SBTi)により承認された2025年目標を上回る結果となった。また、2019年比でScope1およびScope2の直接排出量を50%削減したことも明らかにした。

さらに、グループブランドのコレクションで使用される素材のうち29%が、認証済みまたは低環境負荷素材となったことも発表。「The Fashion Pact」が加盟企業へ求めていた「2025年までに25%を低環境負荷素材へ移行する」という目標を上回った。特に、オーガニック、再生型、リサイクルコットンを含む“preferred cotton”の調達量は前年比39%増加し、使用レザーの43%は「Leather Working Group(LWG)」認証タンナー由来となった。

ブランド別では、「ディーゼル」がコットン調達全体に占める低環境負荷コットン比率を42%まで拡大。2026年春夏デニムコレクションの85%以上にpreferred materialsを採用した。「マルニ」では低環境負荷コットン比率が35%となり、レザー調達の66%がLWG認証タンナー由来となっている。「メゾン マルジェラ」および「ジル サンダー」でも、それぞれ55%に達した。

循環型ファッションへの取り組みも継続している。「ディーゼル」は、国連工業開発機関(UNIDO)が推進する「SwitchMed」プログラムの一環として、チュニジアのパートナー企業と共同で、生産廃棄物を再利用したリサイクルデニムプロジェクトを推進。また、100%リサイクルコットンとエラスタンを使用した「Diesel Rehab Denim」コレクションを再展開したほか、リサイクルポリエステルのみで構成されたモノマテリアル・パファージャケットも発表した。

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Courtesy of Marni/OTB

透明性強化と“Made in Italy”継承へ

一方で、OTBはラグジュアリー業界における透明性向上にも注力している。「LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)」「プラダ グループ(Prada Group)」「リシュモン(Richemont)」とともに「Aura Blockchain Consortium」のステアリングメンバーを務める同社は、2022年以来、「ジル サンダー」「メゾン マルジェラ」「マルニ」の商品300万点以上へデジタル真正性証明書を付与してきた。

また、今後欧州で導入が進む「Digital Product Passport(DPP)」を見据えたパイロットプロジェクトも開始。ブロックチェーン技術とNFC技術を組み合わせることで、製品の透明性、真正性、トレーサビリティ向上を目指す。

人材育成分野では、サステナビリティに特化した研修プログラムを継続実施したほか、職人育成プログラム「Scuola dei Mestieri(職人学校)」も拡大。これまでに50名以上の若手人材を育成し、そのうち80%以上が現在グループ企業に勤務しているという。さらに、グループ全体のマネジメント職に占める女性比率は54%に達し、「OTB」と「ディーゼル(Diesel)」は3年連続でジェンダー平等認証を取得した。

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Courtesy of OTB

OTBグループ会長兼創業者のレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)は、今回のレポートについて次のようにコメントしている。

「今、これまで以上に、サステナビリティは“考え方”であり、すべての意思決定を導く文化的かつ戦略的アプローチでなければなりません。困難な世界情勢や業界全体の減速局面においても、サステナビリティは未来を築くうえで中心的な軸であり続ける必要があります。私たちにとってそれは、日々責任ある選択を行い、人材への投資と育成を継続し、不確実な環境下でも改善を追求し続けることを意味します。創造性やテクノロジーと並び、サステナビリティは現代的で強靭なビジネスモデルを形成する重要な原動力です。」

さらに同氏は、「私たちは環境面・社会面の双方で達成した成果を非常に誇りに思っています。2019年比で直接排出量を50%削減し、再生可能エネルギー利用を拡大し、ブランドコレクションにおける認証済み・低環境負荷素材の比率を29%に引き上げ、『The Fashion Pact』の目標を超えました。また、人材や才能への投資を継続し、OTB Foundationを通じて多くの支援を必要とする人々をサポートしてきました」と述べた。

社会貢献活動を担う「OTB Foundation」は、2006年以降380件以上のプロジェクトを支援し、38万人以上へ支援を提供。2025年には、イタリア教育・功績省と連携し、いじめやジェンダー暴力に関する若年層向け啓発活動を開始したほか、「国境なき医師団(Médecins Sans Frontières)」によるインフレータブル病院プロジェクト支援、女性従業員向け卵子凍結支援制度なども展開している。

Courtesy of OTB Foundation
Courtesy of OTB Foundation

変化するラグジュアリー業界における“競争軸”

ラグジュアリー業界では現在、サステナビリティは単なるコミュニケーション戦略ではなく、調達、規制対応、消費者からの信頼、そして長期的なブランドレジリエンスに関わる“経営インフラ”へと変化しつつある。

近年では、単なる環境目標だけでなく、サプライチェーンの透明性、循環型デザイン、人材育成、クラフツマンシップ継承、さらには測定可能な社会的インパクトまでもが、ファッショングループを評価する重要な基準となっている。特に投資家や若い世代の消費者は、ブランドが「何を売っているのか」だけでなく、「どのように企業運営を行っているのか」に対して、より強い視線を向け始めている。

そうした中で、OTBの今回のレポートは、ラグジュアリー企業がサステナビリティを単なる補助的施策ではなく、事業運営の中核へと再定義し始めていることを示すものだ。再生可能エネルギー拡大、デジタルプロダクトパスポート、職人育成、女性支援プログラムに至るまで、同グループの戦略からは、「透明性」「説明責任」「文化的価値」が、ラグジュアリーそのものとますます不可分な存在になりつつあるという、業界全体の大きな変化が浮かび上がる。

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