イタリアのファッション・ラグジュアリーグループ「OTB」は6月4日(現地時間)、オートクチュールメゾン「ヴィクター&ロルフ(Viktor&Rolf)」の全株式を取得し、100%子会社化したことを発表した。2008年から続く両者のパートナーシップは、新たな局面を迎えることになる。
今回の取引により、OTBはこれまで保有していた70%の持分に加え、残る株式を取得。1993年にヴィクター・ホースティング(Viktor Horsting)とロルフ・スノーレン(Rolf Snoeren)が設立したメゾンを完全傘下に収めた。
Summary
- OTBが、ヴィクター&ロルフの全株式取得を完了し、100%子会社化
- 2008年に51%、2019年に70%へ出資比率を引き上げ、今回の取引で完全傘下に
- 創業者のヴィクター・ホースティングとロルフ・スノーレンは、今後5年間クリエイティブディレクターを継続
- ヴィクター&ロルフは、オートクチュール、レディ・トゥ・ウェア、ブライダル、アイウェア、フレグランス事業を展開
- 今回の買収により、OTBはラグジュアリーポートフォリオおよびオートクチュール分野でのプレゼンス強化を図る
2008年から続く関係をさらに強化
OTBとヴィクター&ロルフの関係は2008年に始まった。当時、OTBはブランドの過半数株式となる51%を取得。その後、2019年には出資比率を70%へ引き上げ、ブランドの成長と国際展開を支援してきた。
今回の100%取得は、長年にわたる協業関係をさらに深化させるものとなる。OTBはこれまで、クリエイティブの独立性を維持しながらブランドの事業基盤強化を支援しており、両者は共通のビジョンのもとで成長を続けてきた。
また今回の発表は、2025年に締結された契約とも連動している。同契約では、創業者であるヴィクター・ホースティングとロルフ・スノーレンが今後5年間にわたりクリエイティブディレクターを継続することが確認されている。両デザイナーは引き続きブランドの創造性と戦略の中核を担う見通しである。
オートクチュール界を代表する独創的な存在
ヴィクター&ロルフは、これまでにファッションとアートの境界を探求する実験的なアプローチによって、国際的な評価を獲得。大胆なコンセプトと彫刻的なシルエットを特徴とするコレクションは、オートクチュール界において独自のポジションを築いてきた。
近年はオートクチュールに加え、レディ・トゥ・ウェア、ブライダル、アイウェアなど事業領域を拡大。さらに、ニューヨークのメトロポリタン美術館をはじめ、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館、ローマのMAXXIなど世界各地の主要文化機関で作品が展示されるなど、ファッションブランドの枠を超えた文化的存在感を示している。

フレグランス事業も成長を支える柱に
また、ブランドの収益面では、フレグランス事業も重要な役割を果たしている。
ヴィクター&ロルフは20年以上にわたりロレアル リュクス(L’Oréal Luxe)と提携し、「フラワーボム(Flowerbomb)」「スパイスボム(Spicebomb)」「ボンボン(Bonbon)」などのフレグランスを展開。ラグジュアリーフレグランス市場において高い認知度を維持している。
OTB創業者兼会長のレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)は、今回の完全子会社化について次のようにコメントした。
「ヴィクターとロルフは、現代ファッション界において最も先見性があり、影響力のあるデザイナーの二人です。私たちは長年にわたり、相互の尊重、創造の自由、そしてコンテンポラリークチュールにおける革新的な表現を追求する共通の姿勢に基づいた素晴らしい歩みを共にしてきました。
今回のさらなるステップにより、国際的なラグジュアリー業界の中でも唯一無二の存在であり続けるメゾンとの結びつきを一層強固なものにします。創造性、芸術的探求、文化的な存在感において際立つブランドとして、今後もその発展を支援していきます。」

ヴィクター・ホースティングとロルフ・スノーレンは、今後もクリエイティブディレクターとしてブランドを率いていく。
両氏は声明の中で次のように述べている。
「ヴィクター&ロルフのクリエイティブディレクターとして、今後もファッションをアイデアと実験のためのラボラトリーとして探求し続けられることを大変嬉しく思います。」

OTBによるラグジュアリーポートフォリオ強化の一環
今回の買収は、OTBが進めるラグジュアリーポートフォリオ強化戦略の一環とみられる。同グループは現在、ディーゼル(Diesel)、ジル サンダー(Jil Sander)、メゾン マルジェラ(Maison Margiela)、マルニ(Marni)を傘下に持ち、さらにアミリ(Amiri)にも出資している。
ヴィクター&ロルフの完全子会社化により、OTBはオートクチュール分野におけるプレゼンスをさらに高めることになる。一方で、創業デザイナーによるクリエイティブ体制が維持されることから、ブランドの独自性を保ちながら成長を加速させる体制が整ったと言えそうだ。
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