フランス・パリを拠点とするクチュールメゾン「ジャンバティスタ ヴァリ(Giambattista Valli)」が、新たな転換点を迎えた。5月20日(現地時間)、ブランド創設者であるジャンバティスタ・ヴァリ(Giambattista Valli)は、投資会社「アルテミス(Artémis)」からブランドの完全所有権を取得し、再び単独オーナーとしてブランド運営を行うことが明らかにした。
今回の発表は、アルテミスおよびメゾン双方の公式声明によって公表されたものである。契約の詳細な金額は非公開となっているが、長年にわたりブランドを支援してきたアルテミスとの協業関係に一区切りが打たれる形となる。
Summary
- ジャンバティスタ・ヴァリが、アルテミスからブランドの完全所有権を取得
- アルテミスは2017年に出資し、2021年に経営権を取得していた
- 近年はショー中止や買収先模索など、ブランド再編の動きが続いていた
- ヴァリは今後、独立した体制でブランド運営を継続する
アルテミス傘下から独立、新たな章へ
ジャンバティスタ・ヴァリは、2005年に自身の名を冠したブランドをパリで設立。ロマンティックかつ彫刻的なシルエットを特徴とするクチュールスタイルで知られ、2011年にはオートクチュール公式メンバーとして認定された。
一方、アルテミスは、フランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)率いるピノー家の投資会社として知られ、「ケリング(Kering)」をはじめ、「クリスティーズ(Christie’s)」、「クレージュ(Courrèges)」など多様なブランドや事業を保有している。
アルテミスは2017年にジャンバティスタ ヴァリへ出資し、2021年には経営権を取得。その後、ブランドの組織構築やコレクション展開、海外市場でのプレゼンス強化などを支援してきた。
しかし近年、ラグジュアリー市場の変化や経営上の課題を背景に、ブランド運営体制の見直しが進行。今年1月にはオートクチュールショーを見送り、さらに3月のパリ・ファッションウィーク期間中には2026年秋冬プレタポルテコレクションの発表も中止していた。また、一部海外メディアによれば、アルテミスは「ロスチャイルド&Co(Rothschild & Co)」を通じて買収候補先を探していたと報じられていた。
今回の契約について、アルテミス会長のフランソワ=アンリ・ピノーは、次のようにコメントしている。
「ジャンバティスタ・ヴァリ氏を支援し、この唯一無二で高い要求水準を持つクリエイティブビジョンを後押しできたことを大変嬉しく思います。刺激に満ちた協業の年月を経て、今、この起業家としての冒険に新たな章が開かれようとしている。ジャンバティスタの次なるステージでの成功を心から願っています。」
また、ジャンバティスタ・ヴァリは、以下のように述べた。
「これまで長年にわたり、アルテミスがメゾンに注いでくれた支援とコミットメントに感謝したいです。この合意によって、私は再びブランドの完全なコントロールを取り戻し、情熱とエネルギーを持ってブランドの発展を追求していくことができるようになりました。」
“独立性”を取り戻したメゾンの今後
今回の発表で特に強調されたのは、「自由」と「独立」というキーワードである。公式声明では、ジャンバティスタ・ヴァリが今後、「自身のクリエイションを常に特徴づけてきた自由と独立の精神」に基づき、独立した形でブランドを継続していくと説明された。
近年のラグジュアリー業界では、大手グループ傘下に入ることで成長を図るブランドが増える一方、創業デザイナーが再び独立性を取り戻すケースも散見される。
ジャンバティスタ・ヴァリは、長年にわたりロマンティシズムとクチュール美学を軸に、唯一無二のフェミニニティを築いてきたデザイナーである。今回の独立は、単なる資本再編ではなく、ブランドの原点である“自由なクリエイション”を再び前面に押し出す象徴的な転換点と言えそうだ。
View this post on Instagram
Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.