フランスのラグジュアリーメゾン「シャネル(Chanel)」が、2025年度業績において増収増益を達成した。2025年12月31日を期末とする通期売上高は193億ドルとなり、為替調整後ベースで前年比2%増加。営業利益は47億ドルとなり、前年比5%増を記録した。
2024年にはラグジュアリー市場全体の減速や価格上昇への消費者疲れの影響を受け、売上高が4.3%減少していたが、2025年は再び成長軌道へ回帰した形となる。
Summary
- シャネルの2025年売上高は193億ドルとなり、前年比2%増を記録
- 営業利益は47億ドルとなり、前年比5%増加
- マチュー・ブレイジー就任後、新規顧客層の獲得が加速
- リスト インデックス Q1 2026では、シャネルが初登場で首位を獲得
- パリおよびニューヨークでは、デビューコレクション発売時に完売が相次ぎ、世界的需要の高まりを示した
- 若年層や男性顧客など、新たなラグジュアリー消費層への浸透も進んでいる
マチュー・ブレイジーが生み出した“新しいシャネル”
今回の回復を象徴する存在となったのが、2025年よりファッション部門アーティスティック・ディレクターに就任した「マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)」の存在だ。
ブレイジーによる初のプレタポルテコレクションは2025年10月に発表され、ブランドの伝統的コードを現代的に再構築したデザインが大きな反響を呼んだ。柔らかなレザーを使用した「マキシ フラップバッグ」や、鮮やかなカラーリングとフリンジ加工を施したツイードジャケットなどが代表例として挙げられている。
また、2026年初頭に店頭展開されたミントグリーンとブラックのツートーンパンプスなども高い人気を集め、供給を上回る需要が発生したという。
「Lyst Index」首位が示した世界的熱狂
さらに、ブレイジー体制下でのブランド熱量の高まりは、消費者データにも表れている。
4月29日(現地時間)には、オンラインファッションプラットフォーム「リスト(Lyst)」が、四半期ごとの人気ブランドランキング「リスト インデックス(Lyst Index)」2026年第1四半期版を発表。同ランキングは約10年にわたり発表されてきた業界指標であり、今期からは「Desire(欲望)」「Demand(需要)」「Discovery(発見)」の三軸構造へと評価基準を刷新した。
その新メソドロジー初回となるランキングにおいて、「シャネル」は初登場で首位を獲得。マチュー・ブレイジー体制への世界的注目度と市場での強い存在感を示す結果となった。
実際、この熱狂はランキングだけではない。2026年3月5日に行われたデビューコレクション発売時には、パリ・カンボン通り31番地本店をはじめとする主要ブティックに顧客が殺到し、主要アイテムの多くが短期間で完売した。
さらに、その需要はパリだけに留まらず、アメリカでは3月13日よりニューヨーク57丁目店、ビバリーヒルズ店、バルハーバー店の3店舗限定で先行販売が行われたが、パリで購入できなかった顧客が流入し、ニューヨークでも完売が相次いだという。
変化する“シャネルを語る人々”
また、OSFがニューヨークで取材する中でも顕著だったのは、「シャネル」を語る層そのものが変化しているということだ。従来はVIP顧客や上の世代の業界関係者が中心だった会話の中に、現在では20代のエディター、若手バイヤー、さらには男性業界人の姿も自然に見られるようになった。
特に、「ハリー・スタイルズ(Harry Styles)」によるメティエ・ダール着用以降、男性セレブリティやファッションインフルエンサーによる支持も拡大している。
批評的評価と商業的成功が、ここまで同時に高水準で一致するケースは極めて珍しい。特にラグジュアリー市場全体が減速傾向にある現在、この現象は単なる話題性ではなく、ブランド戦略そのものの転換点として見る必要がある。
ファッション部門では、プレタポルテに加え、「Chanel 25」ハンドバッグキャンペーンが好調に推移。ブランドの新たなイメージ形成にもつながった。
長期投資で進むグローバル拡張
なお、グローバルCEOを務めるリーナ・ネア(Leena Nair)は、今回の業績について次のように述べている。
「2025年の好調な業績は、長期的視点に基づく戦略、サヴォアフェールへの前例のない投資、そして“卓越したクリエイティブ・モメンタム”によって支えられました。『Chanel 25』バッグの成功、『Chance Eau Splendide』の発売、そしてブランド初となる『J12 Bleu』の登場などがその象徴です。」
地域別では、アメリカ市場が成長を牽引。米州売上高は為替調整後ベースで前年比7.2%増となった。一方、アジア太平洋地域は0.8%減、ヨーロッパ地域は2.5%増となっている。
また、同社は2025年に全体平均で3%、ファッションカテゴリーでは2%の価格改定を実施。今年も同程度の値上げを予定しているという。
事業投資も引き続き積極的に進められている。2025年には40店舗以上のブティックを新規オープン。日本、中国本土、中東、メキシコなど幅広い市場で出店を拡大したほか、25店舗以上のフレグランス&ビューティ専門ブティックも新設した。
さらに、メキシコおよびアルゼンチンでEC事業を開始。ロンドン新本社やフランス国内の新フレグランス製造施設への投資も進めているようだ。
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