360度のデジタル戦略で生まれ変わるヒューゴ ボス(HUGO BOSS)

HUGO BOSS

 

HUGO BOSSの新キャンペーン#BeYourOwnBossがリリース

ドイツ生まれのファッションブランドであり、日本ではスーツなどのビジネスウェアで知られているヒューゴボス(HUGO BOSS)が、この度ブランドを「HUGO」と「BOSS」のそれぞれで新しくリブランディングをし、新しい層へアプローチする為のBOSSのグローバルキャンペーン#BeYourOwnBossを打ち出した。

注目すべきは、この新しいキャンペーンのインフルエンサーキャスティングだ。

1月26日(ニューヨーク現地時間)、筆者が何気なくインスタグラムを開くと、そこには日頃からチャックしている有名モデルやセレブ、インフルエンサーがみんな同じBOSSのロゴパーカーを着て、一斉にBOSSの新しいキャンペーンの写真をアップしていることに気付かされた。フィードをスクロールしても、BOSSの投稿が続き、まさに私のインスタグラムフィードはBOSSの新キャンペーンでジャックされていたのだ。

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Instagram @BOSS

このキャンペーンは、「#BeYourOwnBoss  (自分自身のボスになろう)」と名付けられ、ボスの2022年春夏コレクションをフィーチャーしており、有名モデルにはケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)、ヘイリ​​ー・ビーバー(Hailey Bieber)、テイラー・ヒル(Taylor HIll)などの顔ぶれ、そして韓国のトップ俳優であるイ・ミンホ、ラッパーのフューチャー(Future)、またボクサーのアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)など世界的アスリートなどが起用されている。

それに加えて、そしてネットフリックスの「Emily in Paris」で一躍世界的に有名になったアシュリー・パーク(Ashley Park)や、世界のTiktokスターであるカビー・ラメ(Khabane Lame)がこのキャンペーンに起用されており、流行に敏感なミレニアル世代、そしてTiktokやNetflixがカルチャーのZ世代は誰でもが知っているあろう顔ぶれが揃う。このキャスティングは、ブランドがアプローチしたいであろう新しい若者のターゲット層に間違えなくしっかりとハマっている。

そして、世界のトップTikTokスターであるカビー・ラメに関しては、BOSSが複数年にわたるパートナーシップを組むことも発表した。

BOSS
左:Khabane Lam/右:Ashley Park

 

即効性のあるデジタルコンテンツでリブランディングの認知を強化。
新しいターゲット層へ

実際にヒューゴ ボスのCEOであるダニエル・グリーダー(Daniel Grieder)は、「このリブランディングとキャンペーンで、新しく、より若い層にブランドのファンになってもらうことが目標です。このキャンペーンで、私たちのブランドを身近に感じてもらい、今後数年間で世界のトップ100ブランドになるという私たちの目標を達成するための重要なステップなのです」と述べている。

ちなみに2020年からは、二刀流と全米を沸かせている日本人メジャーリーガーの大谷翔平が同ブランドのブランドアンバサダーに起用されていた。2021年のオールスターゲームの当日の恒例イベントである「レッドカーペットショー」では、大谷がHUGO BOSSのコアブランドであるBOSSのスーツを着用して報道陣の前に現れ日本でも話題になっただろう。このことからも以前よりヒューゴ ボスは、消費者のメインターゲットを、よりスポーツに関心のあるZ世代にシフトしていきたいのだろうという意志が見えてくるのだ。

ちなみにアメリカでデパートのメンズ売り場を見ると、ヒューゴ ボスはケンゾー(Kenzo)やディーゼル(Desel)、ラグ&ボーン(Rag and Bone)やセオリー(Theory)と同様の価格帯とターゲットに位置している。

しかし、今後同ブランドが狙うのは 、「今までのかっちりした印象から、スポーティーなストリート系のメンズウェアに転換し、新しいターゲットの心を掴んだバーバリー」や、「アンダーウェアのキャンペーンでジャスティンビーバーなどを起用し、Z世代に向けたリブランディングに成功したカルバンクライン」などのポジションではないだろうか。

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Instagram @BOSS

また、この#BeYourOwnBossのグローバルキャンペーンに加えて、デジタルマーケティングの面ではポッドキャスト、インスタグラムストーリー&リール、BTS(撮影の裏側)などソーシャルファーストのデジタルコンテンツで更にアプローチを加速させている。

世界35の都市で従来の大規模な野外広告も出される予定だが、ソーシャルメディアを通じ、消費者へあらゆるタッチポイントから360度のアプローチをすることで、より日常に溶け込む自然なプロモーションを狙う。

こういったブランドのデジタルマーケティング戦略からも、2022年は今まで以上に「デジタルを制するブランドが全てを制する時代」が来ることが鮮明に見えてきた。