6月22日(現地時間)、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani) は、ミラノ・ファッションウィーク・メンズにて、2027年春夏コレクションを発表した。
会場となったのは、ミラノ・ボルゴヌオーヴォ通り11番地に位置するブランドの歴史的本社「パラッツォ・オルシーニ」。2018年以来8年ぶりにこの場所でランウェイショーが開催された。また、メンズラインのクリエイティブ・ディレクターを務めるレオ・デル・オルコ(Leo Dell’Orco)にとっては2シーズン目となるコレクションであり、同時にシルヴァーナ・アルマーニ(Silvana Armani)が手掛けた初のクルーズコレクションの一部も披露された。
地中海の市場から着想を得た“静かな旅”
今季のテーマは「Mediterranean Market(地中海の市場)」。古くから文化や人々が交差してきた地中海の市場を出発点に、イタリアンテーラリングと異文化との対話を描いたコレクションである。そこには、旅によって育まれる価値観や記憶、そして交流の豊かさが込められている。
コレクション全体を通じて感じられたのは、「旅人」という存在をロマンティックに描くのではなく、日常の中で自然体に旅を楽しむ現代の男性像である。
軽やかさを極めたアルマーニのテーラリング
ランウェイでまず目を引いたのは、驚くほど軽やかなテーラリングだった。
アンコン仕立てのジャケットは肩の構築性を極限まで削ぎ落とし、まるでシャツのように身体へ寄り添う。ダブルブレストのジャケットでさえ重さを感じさせず、リネンやシャンタンを中心とした天然素材によって、空気を含んだような柔らかなシルエットを生み出していた。
パンツはゆとりを持たせながらも裾に向かって緩やかに絞られ、ブランドが長年培ってきた流れるようなラインを継承。サファリジャケットやワークウェアの要素を取り入れながらも、決して無骨にはならず、あくまで都会的な洗練へと昇華されている。
アルマーニのテーラリングが持つ魅力は、仕立ての巧みさを誇示しないことにある。今季もまた、完璧なカッティングや構築性を声高に語るのではなく、着る人の動きや空気感を引き立てるための服として存在していた。
太陽に褪せたような地中海の色彩
カラーパレットは、砂浜や石畳を思わせるエクリュ、ベージュ、グレージュ。オリーブやカーキ、香辛料を思わせるブラウン。そして地中海の空と海を映したコバルトブルーやネイビー。「太陽に焼かれた石」「スパイス」「海と空」というイメージが、そのまま色彩として表現されていた。
特に印象的だったのは、鮮やかな色を用いるのではなく、強い日差しの下で少しずつ褪色したようなニュアンスカラーで統一していた点だ。
ブルーのリネンシャツやグレイッシュなジャケットは、海辺の街並みに漂う穏やかな時間を想起させる。一方でブラックやダークネイビーのルックは、港町の夜や石造建築の陰影を思わせ、コレクションに奥行きを与えていた。

市場を旅する現代のノマド
スタイリングには、市場を巡る旅人を想起させるディテールが数多く見られた。大容量のレザートートやキャンバスバッグ、首から下げたレザーポーチ、ストローハット、柔らかなレザーシューズ。大ぶりのバッグやソフトなフットウェアはコレクションにさらなる移動性を加えている。
しかしそれらは過度な演出にはならない。サファリやボヘミアンといった分かりやすい旅の記号ではなく、上質な日常着として自然に取り入れられている点にアルマーニらしさがある。
市場で出会う人々や文化、旅先での偶然の発見。そうした体験が静かに服へと落とし込まれていた。
“静かなラグジュアリー”のその先へ
近年のメンズファッションでは「静かなラグジュアリー」という言葉が繰り返し語られてきた。しかし今季のジョルジオ アルマーニは、その概念をさらに一歩先へ進めたように見える。
ロゴも装飾も必要としない。トレンドを追うこともない。
代わりに提示されたのは、時間をかけて育まれた素材の質感や、身体に寄り添う仕立て、そして旅や交流によって蓄積される文化的な豊かさである。
レオ・デル・オルコによる2シーズン目のコレクションは、創業者ジョルジオ・アルマーニが築き上げた美学を忠実に継承しながらも、次世代へ向けた自然な進化を感じさせた。
ジョルジオ アルマーニ 2027年春夏コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。
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