ジバンシィ(Givenchy)2026年秋冬:相反する要素が形づくる新たな女性像

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3月6日(現地時間)、ジバンシィ(Givenchy)は、パリ ファッションウィークにて、2026年秋冬コレクションを発表した。

今季、クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン(Sarah Burton)が据えたのは、「私たちはどうやって自分を取り戻すのか」という、非常に個人的でありながら同時に時代的な問いである。その答えは、声高に語られるのではなく、あくまで衣服の中に静かに織り込まれていた。

コレクションの出発点となったのは、テーラリングである。ウエストを引き締めたジャケットや、構築的なショルダーライン、ダブルブレストのスーツは、一見クラシックでありながら、どこか均衡がずらされている。白いシャツを前後逆に着用するスタイリングや、高く立ち上がる襟のディテールは、伝統的な装いに対するささやかな違和感として機能し、着る人の存在をより強く際立たせる。

その一方で、ショーには柔らかく流れるようなドレスも多く登場した。身体の動きに沿って揺れる布や、大胆に開いたスリットは、仕立ての厳しさとは異なる、もう一つの側面を引き出す。整えられた輪郭と、ほどけるようなライン。その両方がコレクションの中で共存していた。

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色彩や素材にも、今季の方向性ははっきりと表れている。ブラックや深いブルー、ガーネット、エメラルドといった重厚な色は、どれも落ち着きを保ちながら、確かな存在感を放つ。派手さではなく、奥行きで印象を残す色使いだ。

デュシェスサテンのケープは静かに広がり、イブニングドレスには花びらのような質感が与えられている。装飾は過剰にならず、むしろ一つひとつの要素が丁寧に選ばれていることが伝わってくる。レオパードや刺繍といったモチーフも、主張しすぎることなく、全体のバランスの中に溶け込んでいた。

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スティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)によるヘッドピースは、このコレクションに軽やかな意外性を添えた。Tシャツをねじって頭に巻いたシンプルな構造でありながら、スタイリングの中では印象的なアクセントとして見る者の目を引いた。

さらに、モデルのキャスティングやデニムのルックからは、現実に生きる女性たちの姿が自然に重なる。特別な場のためだけではなく、それぞれの生活の延長として成立する服であること。その距離感の取り方にも、バートンの視点が表れていた。

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このコレクションが描いていたのは、一つの理想像ではない。強さとしなやかさ、整った輪郭と揺らぎ。そのどちらかを選ぶのではなく、どちらも受け入れること。そのあり方こそが、今を生きる女性のリアリティとして提示されている。

過去に宿るコードへと確かに触れながらも、それを懐古に留めることはない。サラ・バートンは、それらを現在の感覚へと丁寧に引き寄せ、自然なかたちで更新していく。その積み重ねが、ジバンシィに新たな輪郭と確かな方向性を与えている。

ジバンシィ 2026年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。

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