Deep Dive
知的財産権とデザイン保護
ファッション法の中核をなすのが知的財産権の保護である。ブランドネーム、ロゴ、パッケージデザインは商標権により保護され、テキスタイルパターンや独創的なデザインは意匠権の対象となる。しかし、衣服の「実用品」としての性質から、アパレルデザインに対する著作権保護は国によって大きく異なる。米国では衣服デザインへの著作権保護が限定的である一方、EUでは未登録意匠権による一定の保護が認められている。模倣品やカウンターフェイト対策は、ラグジュアリーブランドにとって年間数十億ドル規模の損失を防ぐための最重要課題である。
サステナビリティと環境規制の法的枠組み
近年のファッション法で最も急速に発展している領域が、サステナビリティに関する法規制である。EUの企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)やフランスの循環経済法(AGEC法)は、サプライチェーンの透明性と環境負荷の開示を義務化している。グリーンウォッシング規制の強化により、「サステナブル」「エコフレンドリー」などの表現に対する法的責任が厳格化されている。拡大生産者責任(EPR)に基づく繊維リサイクル制度も各国で導入が進んでいる。
デジタル時代のファッション法の新領域
NFT、メタバースファッション、AIによるデザイン生成など、デジタルテクノロジーの進化がファッション法に新たな課題を突きつけている。バーチャルファッションアイテムの所有権、AIが生成したデザインの著作権帰属、インフルエンサーマーケティングの広告規制、消費者データの保護(GDPR準拠)など、従来の法的枠組みでは対応しきれない問題が噴出している。ソーシャルメディア上の商標侵害への対応や、越境Eコマースにおける消費者保護も重要な法的課題となっている。
OSFパースペクティブ
OSFは、ファッション法がクリエイティビティの保護者であると同時に、業界の社会的責任を担保するための不可欠な枠組みであると考える。特にサステナビリティ法制の強化は、業界全体のトランスフォーメーションを加速させる正のドライバーであり、法律を脅威ではなくイノベーションの触媒と捉えるべきだと提唱する。
関連用語
知的財産権, 商標権, グリーンウォッシング, サプライチェーン透明性, CSDDD
注目ブランド
Kering, LVMH, Chanel, Hermès, The Fashion Pact