7月13日(現地時間)、京都・西陣を拠点とする「細尾(以下、HOSOO)」は、グループ各社で国際認証「B Corporation(以下、B Corp)」を取得したことを発表した。B Corp取得における認証スコアは109.9を記録し、日本の製造業として最高スコアを獲得。また、世界のテキスタイル製造業においても第6位となり、トップ10入りを果たした。
Summary
- HOSOOグループ各社が、企業の社会・環境への影響を評価する国際認証「B Corporation」を取得
- 認証スコアは109.9を記録し、日本の製造業として最高スコアを獲得
- 世界のテキスタイル製造業におけるB Corp認証企業の中で第6位に位置し、トップ10入りを果たした
- 地域文化への継続的な投資、サプライチェーンの透明性向上、脱炭素、循環型ものづくりなどが評価された
- 職人や養蚕農家への投資、研究機関との協働、伝統工芸の文化発信や次世代育成にも取り組んでいる
今回認証を取得したのは、株式会社HOSOO Collective、株式会社HOSOO、株式会社細尾、株式会社KYOTO SILK HUBのHOSOOグループ各社だ。
「B Corporation」は、米国の非営利団体B Labが運営する国際認証制度。企業の利益や財務実績だけでなく、ガバナンス、従業員、地域社会、環境、顧客という5つの領域を通じて、事業が社会や地球環境にどのような価値を生み出しているかを評価する。
認証には300項目以上に及ぶ審査が設けられ、取得には80点以上のスコアが必要となる。HOSOOが獲得した109.9は、100点を超える企業が限られるなかでも高い水準で、日本の製造業における最高スコアを記録した。なお、同社の発表によると、この順位は量産を前提とした製造業との比較に基づくという。
337年にわたる西陣織の営みを、現代の企業経営へ
HOSOOは、1688年に京都・西陣で大寺院御用達の織屋として創業した。帯やきものに用いられてきた西陣織の技術を継承しながら、革新的な技術と現代的なデザインを取り入れ、ファッションやインテリアをはじめとする国内外のラグジュアリーマーケットに向けて、独自のテキスタイルを展開している。
近年は織物の製造にとどまらず、古代染色の研究と実践、ギャラリーを通じた工芸文化の発信、養蚕業の再生など、素材、技術、文化、地域を横断した取り組みを推進してきた。
今回の審査では、国内外の職人や研究機関との協働をはじめ、地域文化への継続的な投資、養蚕農家や職人への支援、サプライチェーンにおける人権・環境への配慮などが評価された。
環境面では、織機や設備の長寿命化、残糸や端材の有効活用、古建築を生かした施設改修、再生可能エネルギーや電気自動車の導入を実施。温室効果ガス排出量の定量的な評価や、GOTS認証シルク、RCS認証素材の採用にも取り組んでいる。
また、若い世代が活躍できる伝統工芸の職場環境づくり、従業員のキャリア開発支援、大学や研究機関との共同研究、ギャラリーの地域開放など、工芸を次世代へつなぐための教育・文化活動も進めている。
工芸を、社会課題に向き合うための知恵として
HOSOO代表取締役の細尾真孝は、今回の認証について、HOSOOという一企業だけでなく、長年受け継がれてきた工芸の営みそのものが、これからの社会に必要な価値として国際的に認められたことに大きな意味があるとコメントした。
さらに、工芸は単なる伝統の保存ではなく、人と自然、地域、社会、時間との関係のなかで新しい価値を生み出し、調和の取れた関係を育むものだと説明。「Weaving Relations」という思想のもと、日本の工芸が持つ可能性を世界へ広げていく姿勢を示している。
大量生産と大量消費を前提とした従来型の経済から、地域や文化、自然との関係を重視する経済へ。HOSOOのB Corp取得は、伝統工芸を保存すべき過去の遺産としてではなく、社会的価値と経済的価値を結びつける現代の産業モデルとして提示するものといえる。
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