6月26日(現地時間)、「メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)」は、2027年春夏コレクション「ENDLESS SUMMER」をパリ・ファッションウィーク・メンズにて発表した。
今季の出発点となったのは、デザイナー・三原康裕自身が綴った「I hate summer(夏が嫌いだ)」という印象的な言葉である。幼少期からサーフィンに親しんできた自身の原体験を振り返りながら、夏への愛着と嫌悪、郷愁と苦しさという相反する感情を率直に表現した。
都会で暮らしながらも、目を閉じれば青空や入道雲、波の音が蘇る。夢を追い、挫折や喪失を経験した現在も、心の奥には夏の日に手を振る少年が変わらず存在している──。そんな終わることのない夏の記憶が、今シーズンのコレクション全体を静かに包み込んでいる。
しかしランウェイに広がっていたのは、いわゆる開放的なサマーリゾートの世界観ではない。むしろ、夏が過ぎ去った後に残る余韻や、時間を経ても身体に刻まれ続ける記憶を、洗練された日常着として表現したコレクションだった。
Summary
- メゾン ミハラヤスヒロが2027年春夏コレクション「ENDLESS SUMMER」を発表し、夏への愛着と嫌悪が共存するデザイナー自身の記憶をテーマに展開
- 褪せた色彩やリラックスしたシルエット、ミリタリーとリゾートを融合したワードローブを通して、夏が過ぎ去った後に残る余韻を表現
- ブランドを象徴するレイヤードやパターンのずらし、ラベル使いなどの”違和感”を控えめに取り入れ、より成熟したデザインへと昇華したコレクションを披露
褪せた色彩が描く、大人のサマーウェア
今季を象徴するのは、ネイビーやカーキ、ブラウン、グレー、アイボリーといった落ち着いたカラーパレットである。強い日差しに焼かれ、時間の経過によって少しずつ色褪せたような色彩がコレクション全体に統一感を与えていた。
シルエットは全体的にリラックス感を重視。肩を大胆に強調したオーバーサイズのテーラードジャケットにはワイドパンツを合わせ、ブランドらしい構築的なフォルムを軽やかに再構築した。開襟シャツやポロシャツ、チェック柄のセットアップは、ヴィンテージのリゾートウェアやパジャマを思わせる柔らかな空気をまといながらも、都会的な洗練を失わない。
メンズとウィメンズを明確に分けることなく、一つのワードローブとして自然に融合させたスタイリングも印象的だった。女性モデルには柔らかなドレープを描くミニドレスやロングスカート、男性モデルには流れるようなシャツやリラックスしたテーラリングを採用するなど、性別にとらわれない軽やかなシルエットを軸に、ブランドらしいバランス感覚を表現。アイテムを共有するような自由な着こなしが、コレクション全体に一体感をもたらしていた。
ミリタリーとリゾートが交差する現代のユーティリティ
コレクションには、フィールドパーカやMA-1ブルゾン、カーゴパンツといったミリタリー由来のアイテムも数多く登場した。機能服としての無骨さを残しながらも、軽量素材やゆとりのあるシルエットによって軽やかに再構築。ショートパンツやニットキャップ、スニーカーなどと組み合わせることで、都市生活とリゾートの境界を曖昧にする現代的なサマースタイルを提案した。
一方で、光沢感のあるサテンシャツや繊細なドレープトップス、軽やかなワンピースなど、センシュアルな要素も散りばめられ、実用性とエレガンスが絶妙なバランスで共存していた。
「終わらない夏」が描く、変わらない自分
三原康裕はコレクションノートで、「夏が来るたびに早く終わってほしいと思う。しかし、その季節をどこかで恋しく思ってしまう」と綴っている。
そのアンビバレントな感情は、2027年春夏コレクション全体にも静かに流れている。華やかなサマールックではなく、人生の中で決して消えることのない夏の記憶を、落ち着いた色彩と実用的なワードローブへと昇華。シンプルでエレガントな佇まいだからこそ、ブランドが長年追求してきた「少しの違和感」や「未完成の美学」が、これまで以上に繊細な存在感を放つ。そんな三原康裕のパーソナルな感情を起点に、ブランドの成熟したクリエイションを映し出した、静かな余韻を残すシーズンとなった。
メゾン ミハラヤスヒロ 2027年春夏コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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