ヴェスティエールコレクティブ(Vestiaire Collective)ファストファッションの取引を禁止

Vestiaire Collective

ファストファッションを禁止したヴェスティエール コレクティブの計らい

ハイエンドブランドを扱うリセールECプラットフォーム ヴェスティエール コレクティブ(Vestiaire Collective)は、本日11月22日よりプラットフォームでのファストファッションアイテムの購入、販売、または出品を禁止すると発表した。

同プラットフォームで取引が禁止されたブランドのリストには、シーイン(Shein)、プリティリトルシングス(Pretty Little Thing)、エイソス(Asos)を始めとし、アトモスフィア(Atmosphere)、ブーフー(Boohoo)、バートン(Burton)、サイダー(Cider)、コースト(Coast)、ドロシー・パーキンス(Dorothy Perkins)、ファッション・ノヴァ(Fashion Nova)、カレン・ミレン(Karen Millen)、ミス・セルフリッジ(Miss Selfridge)、ミスガイディド(Missguided)、Na-kd、ナスティーギャル(Nasty Gal)、オアシス(Oasis)、テゼニス(Tezenis)、トップショップ(Topshop)&トップショップ メン(Topman )が含まれている。

同社によると、過去12ヶ月にプラットフォームに掲載された商品の約5%が、シーイン(Shien)、プリティリトルシングス(Pretty Little Thing)、エイソス(Asos) などのファストファッションブランドのものだったという。

今回ヴェスティエールがファストファッションの禁止に踏み切ったのは、「量より質」を優先し「より良い価格でクラフトマンシップに投資をすること」を消費者へ奨励する為だ。

「私たちは人々のワードローブの無駄を減らしたいと考えていましたが、その無駄は主にファストファッションから来ています。なぜならファストファッションの製品にはそもそもの価値がない為、再販の価値もほとんどないからです」と同社のCEO兼共同創設者であるファニー・モザント氏は述べる。

また現在ファストファッションのアイテムを所有しているヴェスティエールのメンバーに関して、同社の声明では「メンバーがすでに所持しているファストファッションのアイテムの実用的な解決策を見つけて促進することに尽力しています。これには、着用、修理、リサイクル、アップサイクリング、建設的な寄付戦略が含まれます。」と記載がされた。

この数年間で、多数の再販プラットフォームが市場に参入し、限られた顧客層を巡っての競争が激化する中、ヴェスティエールコレクティブは競合他社との差別化を強化してきた。

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今回同社がファストファッションの取引をプラットフォーム上で禁止した理由には、「高額の商品だけを取り扱うことで、より収益性が高くなる為」との見方もあるが、ファニー・モザント氏は「収益性への道筋とは何の関係もない」と述べている。

リセールプラットフォームとしての使命

ヴェスティエールはかねてよりサスティナビリティへの取り組みも強化しており、B-corp認証企業としても知られている。

B-corp認証とは利益の追求と目的の達成の両輪を目指し、社会的・環境的なパフォーマンス、透明性、法的な説明責任についての最高基準を満たしている企業に与えられる認証だ。

同社は今後3年間で、プラットフォームでの取引を禁止するブランドリストを拡大し、外部のコンサルタントと協力して、製品の品質、二酸化炭素排出量、サプライ チェーンの労働条件などの指標を含む一連の堅牢な基準を確立することを計画中だ。また、これを実現するために必要なデータの可視性向上を実現し、ヨーロッパ全体で製品ラベル付けに関する新しい規制が定められることに期待を寄せている。

同社のチーフ インパクト オフィサーを務めるドゥニア・ウォン(Dounia Wone) 氏は、「私たちは環境と社会に多大な影響を与えるファッション業界に加担したくないため、この一歩を踏み出しました。現在のシステムは、低品質のアイテムの過剰生産と過剰消費を助長し、膨大な量のファッション廃棄物を生み出しています。」と述べた。

またヴェスティエールは、今年10月にガーナのアクラを訪れ、カンタマント市場を偵察している。このガーナにあるカンタマント市場とは、世界最大の中古市場の1つであり、ヨーロッパから何百万もの廃棄された衣料品の行き場となっている場所だ。

2016年の調査によると、毎週カンタマント市場に到着する1,500万点以上の衣料品の約40%は品質が非常に悪く、そのほとんどがすぐに埋め立て地に投棄されるという実態がある。

現在同社はこのカンタマント市場で活動している慈善団体である Or Foundation と協力し、ファッション業界から毎年大量発生する衣料廃棄物を取り締まる為の政策方針書に取り組んでいるとのこと。The Or Foundation は、「正義主導の循環型経済」の構築に取り組んでいる米国を拠点とする慈善団体だ。

グリーンピースの今年度のレポートでは、ファストファッションは古着の取引を促進し、その後繊維廃棄物の投棄を促進しているとの報告されている。

その故に、今回のヴェスティエールのカンタマント市場への訪問は、「ファストファッションに関して早急かつ急進的な行動を取ることの重要性を強調した」と言えるだろう。