経営破綻したラグジュアリーECのマッチズ(Matches)、6月末でサイトを永久閉鎖へ

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英国発ラグジュアリー・Eコマースサイトのマッチズ・ファッション(Matches Fashion)は、経営破綻の末、6月いっぱいでサイトを永久に閉鎖することを明らかにした。同プラットフォームは、6月30日午前0時をもって閉鎖となり、現在は、最大80%オフの在庫一掃セールが行われている。

マッチズはこの数年間、最後のCEOであるニック・ベイトン(Nick Beighton)のリーダーシップの下、事業が崩壊の危機に直面し、不安定な状態にあった。これを受けて、マイク・アシュリー(Mike Ashley)率いるフレイザーズ・グループ(Frasers Group)は、昨年12月にマッチズに5200万ポンドを投じて、再建を試みてきた。

しかしフレイザーズ・グループは、買収から約2ヶ月余りで、マッチズが「一貫して事業計画の目標を達成できず、グループからの支援にもかかわらず、重大な損失を出し続けていること」を指摘。マッチズの経営陣は事業を安定させる方法を見つけようとしてきたが、「事業の再構築にはあまりに大きな変化が必要であり、継続的な資金需要はグループが実行可能と考える金額をはるかに超えること」が明らかになった。

マッチズは、1987年にトムとルースのチャップマン(Chapman)夫妻によって、ロンドン南西部のウィンブルドンに実店舗として創業された。その後店舗は拡大し、オンラインEコマースに重点を移してからは、ターゲットを英国から海外へ広げていった。2017年に夫妻は、プライベート・エクイティ・グループのエイパックス・パートナーズ(Apax Partners)に事業の株式の過半数を売却し、その後エイパックス・パートナーズはフレイザーズ・グループに事業を売却。30年という月日を経て、このラグジュアリー・Eコマースサイトは、何とも悲しい結末を迎えることとなった。

ラグジュアリーEコマース業界の試練

かつて栄華を誇ったラグジュアリーEコマース業界が、近年は、激しい競争と市場変動の中で厳しい試練に直面している。昨年には経営難のファーフェッチ(Farfetch)が韓国のクーパン(Coupang)によって買収され、ファーフェッチ創業者のジョゼ・ネヴェス(José Neves)が、その後退任を発表した。同様に、リシュモン(Richemont)傘下のユークス ネッタポルテ(Yoox Net-A-Porter)も経営難に直面しており、現在売却先を探している。

こうした状況は、間違えなく、新たなビジネスモデルと戦略を模索することの必要性を業界全体へ示唆するものだ。