英国ラグジュアリーブランドのバーバリー(Burberry)が、グローバル店舗戦略の見直しを進めている。2026年3月28日に終了した2026年度決算によると、同社は1年間で21店舗を閉鎖する一方、新たに9店舗をオープン。期末時点での直営店舗数は410店舗となった。
Summary
- バーバリーは2026年度に世界で21店舗を閉鎖し、9店舗を新規オープン。総店舗数は410店舗となった
- ジョシュア・シュルマンCEOは、ブランド戦略や収益性に適さない立地から撤退し、より収益性の高いロケーションへ再編していると説明
- 2026年度には約8000万ポンドのコスト削減を実現し、調整後営業利益は2600万ポンドから1億6000万ポンドへ改善
- アウターウェアとスカーフカテゴリーが2桁成長を記録し、「スカーフバー」や「トレンチデスティネーション」などブランド体験型売場を強化
- ラグジュアリー業界全体で店舗網再編が進む中、バーバリーは“店舗数拡大”から“ブランド価値体験”重視へ戦略を転換を図る
バーバリーCEOのジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)は、今回の店舗閉鎖について、現在のブランド戦略や収益性に適さなくなったロケーションを見直す動きであると説明。今回の再編から見えてくるのは、効率化やコスト削減に留まらない、“Burberryらしさ”を再び明確化しようとする姿勢だ。
2026年度、バーバリーは約8000万ポンドのコスト削減を実現。調整後営業利益は前年の2600万ポンドから1億6000万ポンドへと大幅に改善した。また、既存店売上高は前年比2%増となり、第4四半期には中国市場とアメリカ市場で回復傾向も見られた。
一方で経営陣は、地政学的緊張や継続するマクロ経済の不透明感が、今後も主要ラグジュアリー市場における消費者心理へ影響を及ぼす可能性があると警戒感を示している。
“Burberryらしさ”への回帰
ジョシュア・シュルマン体制以降、バーバリーは、アウターウェアやスカーフといった象徴的カテゴリーの強化を進めている。
同社は、2026年度(2025年4月〜2026年3月期)に、『スカーフバー(Scarf Bars)』を約200店舗へ導入したほか、2027年度には『トレンチデスティネーション(Trench Destinations)』や『ポロギャラリー(Polo Galleries)』の展開も計画している。
近年のラグジュアリー市場では、ロゴを前面に押し出した消費から、ヘリテージやクラフトマンシップ、タイムレスな価値を重視する流れへと変化が進んでいる。バーバリーもまた、英国ブランドとして培ってきた歴史性やアイコン性へ、再び重心を戻し始めている。
中でもスカーフカテゴリーは、比較的手に取りやすい価格帯でありながら、高い利益率とブランド認知の双方を担う重要な存在だ。“Burberryチェック”をブランドの象徴として再強化する戦略は、現在の市場環境とも重なって見える。
ラグジュアリー業界全体で進む選択と集中
近年、ラグジュアリー業界では、消費の減速、地政学リスク、マクロ経済の不透明感を背景に、店舗網の再構築が一段と加速している。
ケリング(Kering)は2025年にグループ全体で133店舗を閉鎖し、さらに約100店舗の追加削減を計画。フェラガモ(Ferragamo)も2025〜2026年にかけて約70店舗の閉鎖を進めている。米高級百貨店グループのサックス・グローバル(Saks Global)も、連邦破産法第11章申請後、店舗縮小を続けている。
その中でバーバリーが進めているのは、店舗数拡大競争から距離を置き、“ブランド価値をどう体験させるか”へ軸足を移す動きだ。ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)やノードストローム(Nordstrom)などとのホールセールパートナーシップ強化も進めており、次期上半期には中程度の成長を見込んでいる。
2026年度の売上高は前年比2%減となったものの、前年の7500万ポンド赤字から転換し、2100万ポンドの黒字を計上。バーバリーは現在、ブランド価値を維持しながら利益構造そのものを再設計するフェーズへ入りつつある。
かつてラグジュアリー市場では、店舗拡大そのものが成長の象徴だった。
しかし現在、ブランドに求められているのは、どれだけ広がるかではなく、何を象徴する存在として残るかである。バーバリーの今回の再編は、ラグジュアリー市場が拡大競争から選択と集中へ移行し始めていることを映し出している。
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