5月8日(現地時間)、「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は、ニューヨークのマディソンアベニュー45番地に新たな旗艦店「ISSEY MIYAKE / NEW YORK」をオープンした。店舗は、マディソンアベニューと26丁目の角に位置する歴史的建築「ニューヨークライフビル」1階に誕生。約1200平方メートルに及ぶ世界でも最大の広大な空間を有し、マディソンスクエアパークを望むロケーションとなっている。
建築設計を手がけたのは、ニューヨークを拠点とする建築設計事務所ソリッド・オブジェクティブズ・アイデンバーグ・リウ(SO-IL)。歴史的建築の遺産を尊重しながらも、現代的なエンジニアリングと職人技を融合させた空間として設計された。

Summary
- イッセイ ミヤケがニューヨークのマディソン地区に新旗艦店をオープン
- ニューヨーク拠点の建築設計事務所SO-ILが設計を手がけ、デザインリードは同事務所共同創設者のジン・リウが担当
- 透明ガラス階段や再利用素材など、先端エンジニアリングと循環型デザインを採用
- 海外初の複合型旗艦店ギャラリー「MADO」を併設
- “見えないディテール”への哲学や空間設計への思想が反映された広大なフロア
歴史建築と未来的構造が共存する新旗艦店
空間へ足を踏み入れた瞬間、訪れる人々を包み込むのは、未来性と静謐さが調和した没入感のある世界観だ。2階建ての店内には、先端エンジニアリングと細部への徹底したこだわりが随所に取り入れられ、空間中央には、大型ガラスを精密加工した透明階段を設置。既存建築に残るアールヌーボー様式の構造と、特注のアルミニウムやステンレス素材が組み合わさることで、工業的な力強さと現代的な洗練を共存させている。
また、三方を囲む大きな窓からは自然光が差し込み、マディソンスクエアパークの緑や周辺の街並みと呼応する開放的な空間を形成。ニューヨークという都市のダイナミズムと、イッセイ ミヤケが長年追求してきた静かな美意識が融合する。


“見えないディテール”への徹底したこだわり
OSFによるインタビューで、SO-IL共同創設者のジン・リウ(Jing Liu)は、同プロジェクトについて「ここには、デザイナーでなければ気づかないような“見えない工夫”が数多く存在しています。決して派手に主張するものではありません。でも、それは衣服にも通じるものだと思うんです」と語った。
また「イッセイ ミヤケは、常にファッション、アート、イノベーション、クラフツマンシップの間に存在してきたブランドです」と述べ、その思想を建築空間へ落とし込むにあたり、「まるで完成された彫刻作品を展示するように、細部まで完璧であるべきだと考えました」と話した。

さらに、店内什器や構造ディテールにも、SO-ILによる高度なエンジニアリングと実験的アプローチが随所に取り入れられている。
リウは、アルミニウム製ラックについて、「この手すりはアルミニウムの押し出し成形によって作られています。これだけ長い距離を支えるのは実は非常に難しい」と説明。「コートを何着も掛けたり、人が掴まったりしても、たわまずに完全な水平を保たなければならない」と語り、見た目のミニマルさの裏側にある高度な構造設計を明かした。
また、「通常であれば床から支柱を立てて支えることが多いですが、私たちは服を軽やかに見せたかったんです」と述べ、衣服が空間の中で軽快に見える視覚効果を追求したことを言及。光が服に落ちた際、支柱によって遮られることなく、美しい影がそのまま浮かび上がる構造を実現したという。
こうした細部への徹底したこだわりについて、リウは「こうした実験的な挑戦を本当に理解してくれるクライアントは実は多くありません。でもイッセイ ミヤケは、服づくりにおいても同じように構造やディテール、クラフツマンシップを追求しているブランドだからこそ、私たちの姿勢を深く理解してくれたのだと思います。だからある意味、お互いに“マニアックに突き詰めた”プロジェクトでした」と笑顔を見せた。

店舗内には、建築家フランク・ゲーリー(Frank Gehry)とイッセイ ミヤケの長年にわたる関係性を象徴するチタンパネルを展示。これは、近年営業を終了したトライベッカ地区の旧旗艦店で使用されていたもので、ガラス製壁パネルも新店舗の陳列棚へと再利用するなど、既存素材を循環的に活用する試みも取り入れられている。
さらに、空間づくりにおけるサステナビリティについては、「インテリアを頻繁に作り変えないことはとても重要です。改装のたびに大量の素材が廃棄されてしまいますから」と説明。「可能な限り既存の素材を再利用することを大切にしました」と述べた。


海外初のギャラリースペース「MADO」
店舗奥には、「MADO」と名付けられたギャラリースペースを併設。「MADO」では、年間を通して企画展やコラボレーション、特別プロジェクトなどを開催予定であり、日本国外のブランド複合型旗艦店としては初となるギャラリー空間となる。
今後はローカルアーティストとの協業やカルチャープロジェクトを通して、リテール空間を超えた文化的発信拠点としての役割も担っていく見通しだ。

文化・建築・都市を横断してきたジン・リウ
なお、今回の旗艦店の空間デザインをリードしたジン・リウは、文化施設や美術館建築を数多く手がけてきた建築家として知られる存在である。
2008年にフロリアン・アイデンバーグ(Florian Idenburg)とともにSO-ILを設立して以降、韓国・ソウルの「Kukje Gallery」、香港の「K11 Museum」、ニューヨークの「Met Modern and Contemporary Wing」など、アートと建築を横断する国際的プロジェクトを数多く手がけてきた。
また、コロンビア大学大学院建築学部(GSAPP)の准教授や、プリンストン大学建築学部の客員教授も務めるなど、教育・研究分野でも活動。American Academy of Arts and Letters選出やUnited States Artist Fellowship受賞など、建築・文化分野において高い評価を受けている。

限定アイテムとニューヨークを象徴するビジュアルも
現在オープンを記念し、マディソンアベニュー旗艦店では、限定アイテムを発売。「FOLDING COAT」や、アバカ繊維を使用したハンドメイドハット「THE UNBOUND HAT」、特別なプリーツシリーズ「SHADE AND SHADED_NY」がラインナップされている。
また、オープニングビジュアルでは、「SHADE AND SHADED_NY」のドレスや「FOLDING COAT」を中心に、りんご、マティーニ、イエローキャブなどニューヨークを象徴するモチーフを採用。新旗艦店の誕生を祝福するビジュアルシリーズとなっている。
店舗情報
ISSEY MIYAKE / NEW YORK
住所:45 Madison Avenue, New York, NY 10010
営業時間:月〜土 11:00〜19:00/日 12:00〜18:00
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