仏のラグジュアリーブランドであるシャネル(Chanel)は、2023年の売上高は比較可能ベースで16%増の197億ドルまで急増し、個人経営の高級メゾンとしては過去最高の数字を打ち出した。また同社は、2024年には資本支出を50%増加させる予定であることを報告した。
シャネルによると2023年の売上高は、ファッション、フレグランス、ジュエリーの各製品が2桁の伸びを示し、前年比14.6%増の197億ドルとなった。一方、純利益は3%増の47億ドルで、2022年に記録した14.3%の利益成長から鈍化した。
シャネルの最高経営責任者(CEO)であるリーナ・ナイール(Leena Nair)は、同社のさらなる成長を可能にするため、研究開発に多額の投資を行い、小売販売網を拡大し、スタッフを14%増員したという。また2023年度決算について、「ブランドの魅力向上、お客様への究極のラグジュアリー体験の提供、従業員の成長・育成のためのサポートへの持続的な投資を強調するものです」と述べた。
現在、多くのラグジュアリーブランドがLVMH、もしくはケリング(Kering)の巨大コングロマリット下で経営されているが、シャネルだけは、依然としてヴェルテメール・ファミリーが所有し、利益を上げ続けている。
またルイ・ヴィトンに次いで、世界第2位のブランドであるシャネルは、この数年で大胆な値上げを継続的に実施。例えば、シャネルのシグネチャーであるクラシックミディアムフラップ バッグは、2023年には販売価格が10,200ドルだったのに対し、2024年現在は、10,800ドルで販売されている。同様に、シャネルのボーイバッグの価格も4~5%から2桁上昇し、現在の販売価格は6,400~7,300ドルである。
同社はこれまで通常年に2回価格を改定行ってきたが、今年度の後半にも再度を値上げが実施する予定だ。
一方で、シャネルの最高財務責任者(CFO)のフィリップ・ブロンデュー(Philippe Blondiaux)は、同ブランドのアジア太平洋地域の売上高は17.7%増の100億ドル以上であったのに対し、中国にシャネルのブティックが18店舗しかないことへ言及。競合ブランドが約40〜50店舗を構えているのに対して、シャネルは18店舗のブティックを構えていることを引き合いに出し「中国はまだ、私たちが分散されていない場所と言えるでしょう」と述べた。
同社は、2023年の12億ドルから18億ドルへと今年の資本支出を全体的に増加させる一環として、今後数ヶ月のうちに上海にプライベートサロンとリペアセンターをオープンさせる予定だという。
なお、ヨーロッパ市場での売上高は、18.8%増の56億ドルを達成したが、北米での伸びは2.6%減の39億ドルにとどまった。