7月13日(現地時間)、「エスティ ローダー カンパニーズ(The Estée Lauder Companies)」が、「トゥー フェイスド(Too Faced)」、「スマッシュボックス(Smashbox)」、「ドクタージャルト(Dr.Jart+)」の売却を見送り、引き続きグループ内で保有する方針を決定したことが明らかになった。
同社は、3ブランドを売却対象としていることを正式には発表していなかったが、ブランドポートフォリオの包括的な見直しに向けて外部アドバイザーを起用し、社内外の戦略的選択肢を検討していたことは認めている。
米WWDが確認した社内メモによると、同社はブランドを手放すのではなく、それぞれの強みや市場環境、成長機会に合わせて事業運営モデルを再設計する道を選んだ。エスティ ローダーは社内メモに記載された情報が事実であることを認めたものの、それ以上のコメントは控えている。
Summary
- エスティ ローダーが、トゥー フェイスド、スマッシュボックス、ドクタージャルトの売却を見送り、グループ内での保有を継続
- トゥー フェイスドは運営拠点をロサンゼルスからニューヨークへ移し、Z世代へのアプローチを強化
- スマッシュボックスはロサンゼルス、ドクタージャルトは韓国を拠点に、よりスリムで機動力の高い組織体制へ移行
- オリジンズはデシエムの管理下に入り、ジ オーディナリーを成長させたインキュベーションモデルを活用
- ブランド売却によるポートフォリオ縮小ではなく、それぞれに最適化した運営モデルを通じて再成長を目指す
社長兼最高経営責任者のステファン・ド・ラ・ファヴェリー(Stéphane de La Faverie)は、社内メモの中で次のように説明した。
「過去1年間にわたり、当社はポートフォリオの包括的な見直しを行うため、アドバイザーを起用したことをお伝えしてきました。その過程で、いくつかのブランドについて、社内外のさまざまな戦略的選択肢を検討しました。将来を見据えるなかで、ひとつのことが明確になりました。それは、当社の各ブランドは、それぞれ異なる強み、消費者におけるポジショニング、競争環境、成長機会を持っており、イノベーションを加速し、消費者とのつながりを強化し、長期的な成長を実現するためには、ブランドごとに最適化されたビジネスモデルが必要だということです。」
「成功しているインディーズビューティブランドが持つスピード、機動力、起業家精神を取り入れることで、私たちは事業運営のあり方を進化させています。」
ブランドごとに異なる運営モデルへ
今後トゥー フェイスドは、事業運営の拠点をロサンゼルスからニューヨークへ移し、M・A・C(M·A·C)やボビイ ブラウン(Bobbi Brown)などと同じメイクアップ部門のクラスターで運営される。チームの規模を大幅に縮小するとともに、Z世代を重視したブランドポジショニングを進める方針だ。
スマッシュボックスは、引き続きロサンゼルスを拠点とする一方、より小規模な組織へ移行する。ブランドの運営効率を高め、変化する市場へ迅速に対応できる体制を整える。
ドクタージャルトは韓国に本社を維持し、商品イノベーションに加えて、重点カテゴリーと地域市場へ経営資源を集中させる。社内メモには、「よりスリムで機動力の高い組織体制で運営することにより、ブランドはイノベーションをより迅速に進め、変化する消費者トレンドへ素早く対応し、より効果的に競争できるようになる」と記されている。
オリジンズはデシエムの管理下へ
さらに、スキンケアブランドのオリジンズ(Origins)についても、事業運営の枠組みを変更する。今後はデシエム(DECIEM)の管理下に置かれ、ジ オーディナリー(The Ordinary)の成長を支えてきたインキュベーションモデルを活用する。
エスティ ローダーは2024年、デシエムの残りの株式を取得し、同社を完全子会社化した。デシエムが培ってきたデジタルを重視する事業モデルや機動的な組織構造を取り入れることで、オリジンズの成長を加速させる狙いだ。
なお、今回の再編に伴い、対象となる各ブランドで人員削減が行われる見通しだ。ただし、削減される人数や実施時期などの詳細は明らかになっていない。
「ビューティ・リイマジンド」の延長線上に
エスティ ローダーは、2025年に発表した経営戦略「ビューティ・リイマジンド(Beauty Reimagined)」のもと、組織構造の簡素化や意思決定の迅速化を進めている。
今回の再編も、その方針を反映したものだ。すべてのブランドを一律の枠組みで運営するのではなく、それぞれの顧客層や競争環境、成長段階に応じた事業モデルへと移行する。ブランドを売却してポートフォリオを縮小するのではなく、組織をよりスリムで機動的な体制へと立て直すことで、ブランド価値の向上と長期的な成長を目指す。
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