フェティコ(FETICO)は、3月13日(現地時間)に、東京国立博物館の表慶館で2024年秋冬のショーを行った。
「永遠のお気に入り(Eternal Favorites)」と名付けられたこのコレクションには、デザイナーの舟山瑛美によって、彼女が本能的に惹かれるエッセンスが詰め込まれた。
ショーが幕を開けると、ファーストルックに登場したのは、ダークなメイクに、大ぶりの黒いリボンを髪に飾った修道女のようなモデルだった。身に纏っているロングドレスには、胸元部分に十字の切り込みが入る。その後のルックにも同様に、ドレスの胸元や、トラウザーのサイド、ボディスーツの袖と背面などに十字架の切り込みが施されていた。
コレクションの主役として採用されたのは、ゴシックな世界を表現するのに欠かせないベルベット生地だ。肩にフリルをあしらったジャケットやクロスカットのドレス、ゴシック調の刺繍のビスチェやスカートなどに使用され、たおやかでありながらも強い存在感を漂わせた。また、モデルたちは、黒いベールを頭に被ったり、首元にブランドモノグラムを連想させるチョーカーを身につけるなどして、際立つアクセントが添えられていた。
舟山は幼い頃からベルベットのドレスや、レース、フリルがあしらわれた子ども服を好み、ヴィクトリアン・ゴシック様式のインテリア、モノクロームのアートやフェティッシュなスタイルに惹かれてきたという。今回のコレクションで魅せたダークなゴシック調の世界観は、1991年に放映された映画「アダムス・ファミリー」に登場する長女のウェンズデーからインスピレーションを得たもの。
「小さい頃に見た映画『アダムス・ファミリー 』のウェンズデーは、キラキラした可愛い女の子たちとは何もかも違いました。自分のスタイルを貫く彼女は、残酷で陰湿なのにどこかチャーミングで魅力的で、人と異なることを恐 れない強さを教えてくれたのです。」
「好きなものを大切にすることは、自分自身を大切にしていることと同じ。好きなことに素直な自分はより愛しく思える。お気に入りと共に人生を歩むことは、何より幸せなことだから」と、舟山は語った。
ショーの中盤以降では、チュールのベビードールブラウス、ネグリジェのようなキャミソールドレス、ガーゼのシャーリングドレスも登場し、ロマンチックなランジェリーディテールが見られた。また、シャーリングやギャザーで体の曲線を強調するシルエットや、透け感のあるニットなどからは、女性の身体を美しく見せることに重きを置いている「フェティコらしさ」が全面に感じられた。
フェティコ(FETICO)2024年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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