カナコサカイ(KANAKO SAKAI)2024年秋冬コレクション

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カナコサカイ(KANAKO SAKAI)は、3月13日(現地時間)に、メイン会場の渋谷ヒカリエにて、2024年秋冬コレクションを開催した。

同ブランドは、『大人の女性の為の日常の戦闘服』というコンセプトで、クリーンで、洗練されたテーラードルックなどを主に発表していた。またランウェイモデルには、ウィメンズラインにメンズモデルを採用し、ジェンダーに囚われることのない自由なアプローチを追求してきた。

しかし、規則的なドラム音が鳴り響くランウェイで、サカイが今シーズンに披露したのは、強く挑発的な「女性的」な要素だった。それは、コーンブラが鋭く突き出る暈色のビスチェに、ハート型にカットアウトしたレザーやラメ素材のパンツのショーツなど。これまでにサカイが表現することのなかった、セクシュアルを強調したピースがいくつも登場した。

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サカイは、2024年秋冬コレクションの着想源を、ある時ふと手に取ったマリリン・ ヤーロム(Marilyn Yalom)の『乳房論』から得たという。

「乳房は、時に乳児を養うものであり、時に男性に欲望されるものであり、あるいは 時に、法のもとで隠すよう強いられるものであった。女性のものであるはずが、つねに「誰かのもの」であった」「自分の選択が実は自分本来の希望ではないことに気がつかぬまま、他の人を楽しませるために商品 を選んでいる」という、ヤーロムの主張を知り、サカイの中に、「『女性性』は、そもそも社会によってかたち作られてきた。 いや、『女性性』限ることもない。自分という存在は、つねに他者によって規定されてきた──日々生活 するなか、そう感じる人も多いのではないだろうか」といった疑問が湧く。

そうした問いへ答えを見出すべく、サカイはこのコレクションを通して、社会の風潮から苦手意識がいつの間にか作られ、知らぬ間に自分が避けてきた「女性性」 に、向き合うことを決心したのだ。

そんな新しい感性をコレクションに吹き込んだ一方で、カナコサカイの日本の伝統やものづくりに対する揺るぎない情熱も、随所に見られた。例えば、メタリックなテーラリングコートは、京都の丹後から取り寄せた民谷螺鈿「焼箔」の織物で作られている。また、煌めきを放つニーハイブーツやミュール、ネクタイには、日本の伝統的な家紋柄が採用されていたり、しゃらしゃらと揺らめくイヤーアクセサリーには、千羽鶴のモチーフが並んでいたりした。

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Courtesy of Kanakosakai

カナコサカイがこれまで培ってきたテイストを大切にしつつも、自身の苦手としていた「女性性」や「セクシュアル」な要素を克服し、形にすることで、ブランドの美学に新たな息吹を与えたのが、最新コレクションだ。日常のルックを華やかに彩る洗練されたアイテムが数多く揃い、新たなる魅力が光っていた。

カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)2024年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。