6月1日(現地時間)、ビューティ&ウェルネス企業のウォルデンキャスト(Waldencast)は、皮膚科向けスキンケアおよび美容医療事業を展開する「オバジ メディカル(Obagi Medical)」を、投資会社のブリッジポイント(Bridgepoint)へ売却する最終契約を締結したと発表した。
取引総額は最大4億6,000万ドルとなる見込みで、ウォルデンキャストは今後、カラーコスメブランド「ミルク メイクアップ(Milk Makeup)」の成長戦略に経営資源を集中させる。
Summary
- ウォルデンキャストが、オバジ メディカルをブリッジポイントへ売却する最終契約を締結
- 取引総額は最大4億6,000万ドルで、2026年第3四半期中の完了を見込む
- 売却後、ウォルデンキャストはミルク メイクアップの成長戦略に経営資源を集中
- 創業者のミシェル・ブルーセとヒンド・セブティは、取引完了後にオバジ メディカル側の経営へ移行予定
- 今回の取引は、ビューティ企業におけるポートフォリオ再編と、皮膚科学・美容医療市場への投資拡大を象徴する動きである
ポートフォリオ再編で次の成長ステージへ
ウォルデンキャストは2019年にミシェル・ブルーセ(Michel Brousset)とヒンド・セブティ(Hind Sebti)によって設立されたビューティ&ウェルネスプラットフォーム企業である。同社は高成長ブランドの育成・買収を通じて事業拡大を進めてきた。
今回の売却は、財務基盤の強化と事業ポートフォリオの再構築を目的とした戦略的な判断となり、取引完了後、ウォルデンキャストは現在保有するシニア担保付タームローン約1億7,800万ドルを返済し、残るブランドであるミルク メイクアップへの投資を継続する方針だ。
オバジ メディカルの成長を評価したブリッジポイント
1988年創業のオバジ メディカルは、医療機関向けスキンケア市場を代表するブランドの一つとして知られる。皮膚科学研究に基づく製品開発を強みとし、色素沈着、光老化、ニキビ、紫外線ダメージなど幅広い肌悩みに対応する製品を展開している。
ウォルデンキャストが2022年に同ブランドを買収して以降、医師向け直販事業の拡大、デジタル戦略の強化、国際展開を推進し、収益性を大きく改善してきた。
さらに2025年には美容医療企業ノヴァエスティック(Novaestiq)を買収。2026年第1四半期にはFDA承認を取得した「Obagi Saypha® MagIQ™」ヒアルロン酸フィラーを発売し、美容医療分野への事業拡大を進めている。
ブリッジポイントは、オバジ メディカルが持つ強固な科学的基盤と医師ネットワーク、そして成長を続ける美容医療市場におけるポジションを高く評価したとみられる。
創業者はオバジ メディカルへ移籍
取引完了後、ウォルデンキャストの創業者でありCEOを務めるミシェル・ブルーセと、共同創業者兼最高成長責任者のヒンド・セブティは、一部経営陣とともにウォルデンキャストを離れ、ブリッジポイントとのパートナーシップのもとでオバジ メディカルの経営を担う予定である。
両氏は今回の発表に際し、次のようにコメントしている。
「私たちは、目的志向型の高成長ブランドを育成する世界最高水準のビューティ&ウェルネスプラットフォームを構築するという明確なビジョンのもと、ウォルデンキャストを創業した。ミルク メイクアップとオバジ メディカルの両ブランドで実現した変革と成長を誇りに思う。ブリッジポイントは、オバジを世界No.1の皮膚科学ベースのメガブランドへ成長させるという長期的なビジョンを共有する理想的なパートナーである。」
ミルク メイクアップが単独事業へ
また今回の取引によって、ウォルデンキャストは実質的にミルク メイクアップを中心とした企業へ移行することになる。
ミルク メイクアップは2016年創業のクリーンビューティブランドであり、「Live Your Look」を掲げるカルチャードリブンなブランドとして若年層を中心に支持を拡大してきた。2025年には米セフォラ(Sephora)のクリーンビューティメイクアップカテゴリーで第2位にランクインし、近年はウルタ ビューティ(Ulta Beauty)への展開や欧州、アジア、中南米市場への進出も進めている。
ウォルデンキャスト取締役会会長のフェリペ・ドゥトラ(Felipe Dutra)は今回の売却について、次のように述べている。
「包括的な戦略レビューを経て、取締役会は今回の取引がウォルデンキャストと株主にとって最善の選択肢であると判断した。この売却により当社の財務基盤は大幅に強化されるとともに、大きなグローバル成長機会を持つミルク メイクアップへ、より明確に経営資源を集中できるようになる。」
ポートフォリオ再編が映し出す成長戦略
近年のビューティ業界では、複数ブランドを保有するプラットフォーム型企業が、より成長性の高いブランドへ集中投資するケースが増加している。ウォルデンキャストは、医療・美容医療領域で成熟期に入ったオバジ メディカルを手放す一方で、グローバルな若年層市場で高い成長余地を持つミルク メイクアップに注力することで、よりシンプルで成長志向の経営体制を目指す。
一方でブリッジポイントにとっては、美容医療と皮膚科学スキンケア市場への本格的な投資拡大となる案件であり、オバジ メディカルが今後どのようなグローバル展開を進めるのかにも注目が集まりそうだ。
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